コミュニティ型賃貸住宅とは?経営するメリットやコツをご紹介
賃貸物件の種類は時代にあわせて多様化しており、テレビドラマなどの影響も受けて「シェアハウス」が話題になりました。
こうした住まいを望む声が、近年増えています。
近年のトレンドとして注目度を高めている賃貸物件のひとつが「コミュニティ型賃貸住宅」です。
そこで今回は、コミュニティ型賃貸住宅とはなにか、経営するメリット・デメリット、経営のコツをご紹介します。
コミュニティ型賃貸住宅とはなにか
賃貸物件は入居者のニーズに合わせて多様化しており、新しいジャンルの住宅が注目を集めています。
コミュニティ型賃貸住宅とはなにか一言で表現すると、大家さんと入居者がコミュニティを形成する住宅です。
ここでは、賃貸経営にあたって押さえておきたいコミュニティ型賃貸住宅の概要について、シェアハウスとの違いも交えながら解説します。
同じ敷地内に菜園やイベントスペースを設ける例があり、住民同士の交流を促せます。
定期的に話し合いを開くことで、暮らしやすい環境づくりにつなげられるでしょう。
コミュニティ型賃貸住宅の種類はおもに3つある
コミュニティ型賃貸住宅とは、賃貸物件の敷地内に共用スペースを設け、イベントを開催するなどして入居者が楽しめる住空間を提供する賃貸物件です。
暮らしのなかに楽しさやぬくもりを感じられる住空間を作ることが特徴で、入居者と大家がコミュニティを形成しながら暮らします。
近年では「孤立」や「孤独」を感じながら暮らす方も多く、他者との関わりを大切にしたいと考える方が増えています。
そのようなニーズに対応するため、賃貸物件の種類は多様化しており、孤立や孤独を解消する手段としてコミュニティ型賃貸住宅が注目されているでしょう。
コミュニティ型賃貸住宅には明確な定義はありませんが、主に「コレクティブハウス」「コモン付き賃貸住宅」「ソーシャルアパートメント」の3種類があります。
コレクティブハウスとは、共同の調理室などの共用スペースを設けた賃貸物件で、共用スペースは入居者が管理・運営します。
コモン付き賃貸住宅は、基本的にコレクティブハウスと同様の機能を持つ賃貸物件ですが、規模が小さいことが一般的です。
ソーシャルアパートメントは、各住戸にキッチンや浴室などのプライベートな空間を設置し、ラウンジなどの共用スペースを設けた賃貸物件です。
プライベートを重視する方にはソーシャルアパートメントが適しており、大人数で協力して暮らすことを好む方にはコレクティブハウスが選ばれます。
コミュニティ型賃貸住宅とシェアハウスの違い
コミュニティ型賃貸住宅とよく似た形式の賃貸物件にシェアハウスがありますが、両者の違いはコミュニティのつながりの深さにあります。
シェアハウスも住民同士がコミュニケーションを取りやすい賃貸物件ですが、主に居住空間を共有することで家賃を節約することを目的に入居者が集まります。
一方、コミュニティ型賃貸住宅は入居者同士のコミュニケーションを重視する方が多く、より積極的で活発な交流がおこなわれることが特徴です。
そのため、シェアハウスより家賃が割高になることがあり、経済的メリットを重視する方には向かない場合があります。
また、助け合いを重んじる価値観を理解することが重要です。
コミュニティ型賃貸住宅のメリット・デメリット
コミュニティ型賃貸住宅は、注目度の高い賃貸物件である一方、日本国内には物件数が少なく、希少な存在です。
そのため、入居率の低さに悩んでいるオーナーにとって、リフォーム・リノベーションを実施してでも経営を検討する価値のある賃貸物件といえるでしょう。
コミュニティ型賃貸住宅の経営を検討している方に向けて、経営のメリットとデメリットをご紹介します。
メリットとあわせて知っておきたいデメリット
コミュニティ型賃貸住宅を経営するうえで懸念されるのは、物件のコンセプトが入居希望者に伝わりにくい可能性があることです。
コンセプトが抽象的なため、正しく理解せずに契約する入居者が現れる恐れがあります。
これを重視しない入居者が多くを占めると、せっかくのコモンスペースや共有スペースが機能しなくなる可能性があります。
また、入居者同士の考え方が乖離することで、思わぬトラブルが発生するリスクにも注意するようにしましょう。
空室対策につながりやすいことがメリット
全国的に見ても物件数が少なく希少性が高いため、空室対策につながりやすいというメリットがあります。
近隣の競合物件との差別化を図りやすく、相場より割高な家賃に設定しても受け入れられる可能性が高まるでしょう。
入居者同士のコミュニケーションを大切にする方が集まりやすいため、住み心地の良い空間を提供すれば、長期間の入居が期待できます。
また、コレクティブハウスの場合、共用部の管理を入居者自身がおこなうため、建物のセキュリティ向上にもつながる可能性があります。
維持管理費がかさみやすいことはデメリット
賃貸物件のオーナーにとってのデメリットは、維持管理費がかさみやすいことです。
コミュニティ型賃貸住宅は、一般的な賃貸物件と比べて共用部分や備品の数が多いため、オーナーが一人ですべてを管理するのは困難です。
建物の維持管理は管理会社に委託できますが、管理費として家賃の20%~30%が請求される可能性もあります。
また、既存の賃貸物件をコミュニティ型賃貸住宅にリフォーム・リノベーションする場合、初期費用として高額な工事費が発生することも予想されます。
さらに、共用設備が多いため、維持管理には業者の手を借りる必要が生じやすいです。
清掃や修繕の頻度を踏まえ、費用を予め見込んでおくことが大切です。
コミュニティ型賃貸住宅を経営するコツ
コミュニティ型賃貸住宅のメリットやデメリットといった特徴を把握したうえで、経営に向けた検討をはじめた方もいるでしょう。
コミュニティ型賃貸住宅の経営を成功させるためには、3つのコツを押さえておくと良いです。
それぞれのコツを確認したうえで、コミュニティ型賃貸住宅の経営に向けた準備を進めましょう。
経営のコツ①エリアや物件に合ったターゲット設定をおこなう
所有している物件があるエリアや物件そのものの特性を把握したうえで、経営するコミュニティ型賃貸住宅に適したターゲット設定をおこなうことが成功の鍵です。
先述したように、コミュニティ型賃貸住宅には「コレクティブハウス」や「ソーシャルアパートメント」など、いくつかのタイプがあります。
どのような属性の入居者を見込めるかを再確認し、そのうえで経営するコミュニティ型賃貸住宅の種類を決めましょう。
交通や利便性を考慮して、ターゲットをより明確にすることが望ましいです。
経営のコツ②持続可能な企画運営をおこなう
充実したコモンスペースや共用部分を設置しても、それを扱う企画内容が不十分であれば意味がありません。
コミュニティ型賃貸住宅の経営を安定させ、成功させるためのコツは、企画運営を充実させることです。
運営方針は入居者に委ねる部分もありますが、中心となるのはオーナーであるため、他人任せにせず持続可能な企画運営をおこないましょう。
交流を促進し、入居者が関わる場を設けることで、愛着が育まれます。
経営のコツ③トラブル回避のために契約条件を見直す
コミュニティ型賃貸住宅のコンセプトに否定的な入居者がいると、コミュニティ形成が頓挫しかねないため、注意が必要です。
一般的な賃貸物件の入居審査で重視すべきポイントは「支払い能力」ですが、コミュニティ型賃貸住宅の入居審査では、入居希望者の協調性やコミュニケーション能力も評価することが重要です。
コミュニティ型賃貸住宅は共用部分が多いため、使用規則を守れる人物かどうかを見極めることが、トラブルを未然に防ぐためのコツとなります。
共用ルールを明確にし、説明を徹底することで、衝突を防ぐことができます。
まとめ
コミュニティ型賃貸住宅とは、施設内にコモンスペースなどの充実した共用スペースを設けた賃貸物件です。
現時点では希少性が高いため、空室対策につながりやすいことなどが経営のメリットといえます。
コミュニティ型賃貸住宅の経営を成功させるなら、ターゲット設定や入居審査の内容を見直すことが大切です。