賃貸物件の設備はリースと購入のどちらが適切?メリット・デメリットも解説

オーナー様向け

山本 裕之

筆者 山本 裕之

不動産キャリア20年

賃貸物件の設備はリースと購入のどちらが適切?メリット・デメリットも解説

住宅設備をリース契約するか購入するかどうかは、賃貸物件のオーナーになる場合に悩みがちな問題のひとつです。
この問題を解決するには、双方の違いを把握しておくことが大切です。
そこで今回は、賃貸物件のオーナーに向けて、設備はリースと購入のどちらが適切か、リース契約のメリット・デメリットと併せて解説します。

賃貸物件の設備はリースと購入のどちらがおすすめか

賃貸物件の設備はリースと購入のどちらがおすすめか

賃貸物件に取り付ける設備をリースか購入か決めるには、まず双方の違いを確認する必要があります。

賃貸物件の設備のリースと購入の違い

リースと購入には大きく分けて6つの違いがあります。
たとえば、リースでは初期費用なしで設備を賃貸物件に導入できますが、購入の場合は購入代金がかかります。
導入費用の支払いについては、リースでは定額を毎月負担する必要がある一方、購入の場合は一度の支払いで済み、そのあとの支払いは発生しません。
また、保守契約を結んで設備をリースする場合、保守費用はかかりませんが、設備を購入すると保守費用が別途必要になります。
保険料についても、リースは不要であるのに対し、購入時には別途必要となります。
さらに、設備のリースにかかる費用は全額経費として計上できますが、購入の場合は会計処理が少し複雑です。
設備単価が30万円未満であれば代金全額を経費計上できますが、30万円以上の設備については減価償却による処理が必要です。
なお、リース契約は基本的に7~10年の長期契約で、契約時に与信審査が求められます。
一方、設備を購入する場合は与信審査は不要ですが、代金が高額になるとローンを組んで資金を調達することができます。

賃貸物件の設備をリースする場合とローンを利用する場合の違い

賃貸物件の設備購入時に使用できるローンは、無担保型のリフォームローンと、有担保型のアパートローンの2種類に大別されます。
リース利用時との違いとして、初期費用に事務手数料や保証料などがかかることや、金利の変動に伴う支払い額の変化があります。
リースでは保守費用、保険料、固定資産税が不要ですが、ローンを組む場合はこれらの費用がすべて別途発生するでしょう。
これから賃貸経営を始める場合など、一度にまとめて設備を取り付けるのであれば、購入よりもリースのほうが費用を捻出しやすいでしょう。

リース可能な賃貸物件の設備

賃貸物件に取り付ける設備の多くはリースが可能です。
たとえば、浴室設備では給湯器、洗面化粧台、浴室乾燥機が、キッチンにはIHヒーター、食器洗い乾燥機、ガスビルトインコンロなどが選べます。
また、温水洗浄便座をはじめ、照明器具、エアコン、給湯器、電気温水器など、種類が豊富です。
さらに、スマートロック、防犯カメラ、宅配ボックスなどのセキュリティ対策に効果的な設備もリースでき、防犯性の高さにこだわりたいオーナーにも便利です。

賃貸物件の設備をリースするメリット

賃貸物件の設備をリースするメリット

賃貸物件に取り付ける設備をリース契約するメリットは、主に費用面と設備にあります。

メリット1.初期費用の削減に効果的

リースのメリットのひとつは、設備を購入するよりも初期費用を安く抑えられる点です。
設備を購入するには代金を支払う必要がありますが、一度に複数台の設備を購入する場合、相応の費用がかかり、まとまった資金を用意しなければなりません。
ローンを組んで購入する場合でも、事務手数料や保証料などを金融機関や保証会社に支払う必要があり、一定額の初期費用がかかります。
リースでは設備の購入費用が不要で、契約後は毎月リース料を支払うことで設備を利用できます。
そのため、多額の資金を準備せずとも賃貸経営を始めることが可能です。

メリット2.経費計上が可能

事務処理の観点から見ても、設備のリース契約には大きなメリットがあります。
購入する設備が30万円以上になると、全額を経費として計上できず、減価償却処理の手間がかかります。
リース契約を選択すれば、設備の代金に関わらず全額を経費計上でき、減価償却の必要もなく、事務処理にかかる時間と手間を削減できるでしょう。
さらに、リース契約で賃貸物件に取り付ける設備は所有物ではないため、固定資産税の負担やその支払いに伴う事務処理も不要です。

メリット3.最新設備の取り付けが可能

賃貸物件に最新型の設備を取り付けられる点は、リースを選択するメリットのひとつです。
最新型の設備を購入する場合、賃貸物件の規模によっては莫大なコストが発生するため、予算によっては旧型の設備しか取り付けられないこともあります。
一方、リースを選ぶと設備は最新型となり、旧型よりも機能性が高く、使いやすさが向上している可能性があります。
限られた予算内で賃貸経営を始めたい方にとっても、コストを抑えながら最新設備を取り付けられる点は魅力的です。
また、賃貸物件を探している方は、旧型の設備よりも最新設備がある物件に住みたいと考えるでしょう。
リース契約を選択することで空室の減少につながり、賃貸経営の黒字化への期待も高まります。

賃貸物件の設備をリースするデメリット

賃貸物件の設備をリースするデメリット

賃貸物件の設備をリース契約すると、設備の購入に比べて費用や契約の面においてデメリットを感じる場合があります。

デメリット1.費用が割高になる可能性

リース契約におけるデメリットは、購入時と比べてコストが割高になる可能性がある点です。
設備のリースでは購入代金などの初期費用がかからない一方、リース料金を毎月支払う必要があります。
リースの場合、保守費用や保険料などの諸費用は単独では発生しませんが、これらは毎月支払うリース代に含まれています。
金額によっては、設備を購入するケースよりも費用負担が大きくなり、結果として予算を上回る可能性があるでしょう。
また、設備の購入時にローンを借り入れて資金を調達する場合、一般的な金利タイプである変動金利型を選んだ場合、金利が低い状態が続けば返済額も少なくて済みます。
もちろん、変動金利型では返済中に金利が上がるリスクはありますが、購入するよりもリースのほうが損をする可能性はゼロではありません。
リース契約で賃貸物件に設備を取り付けたい場合は、購入代金にくわえて諸費用も含めた負担総額を比較検討することが重要です。

デメリット2.中途解約が不可

リース契約を選択するデメリットの一つは、契約を途中で解除できない点です。
原則としてリース契約では中途解約が認められておらず、契約期間内に解約すると費用負担が発生します。
リースの中途解約に必要な費用は、契約先のリース会社が設定した解約金です。
解約金額は契約満了までの期間に応じた残りのリース料であり、中途解約のタイミングが早いほど請求される解約金額も高くなります。
中途解約による費用負担を避けるためにも、リース期間が満了してから解約することがおすすめです。
期間満了時には、設備を変更して新たにリース契約を結ぶか、設備を変更せずに継続契約するか、設備を返却してリース契約を終了するかを選択できます。
賃貸経営の成功において解約金の発生はデメリットとなるため、解約を検討する場合はその時期を慎重に選ぶことが重要です。

まとめ

初期費用の安さや会計処理からすれば、賃貸物件に取り付ける設備は購入よりもリースがおすすめです。
リース契約すると最新設備を賃貸物件に取り付けられるなど、さまざまなメリットが期待できます。
しかしデメリットとして割高になるおそれや中途解約できない点もあるため、慎重に判断することが大切です。


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