賃貸経営で弁護士に相談する不動産トラブルの内容は?費用相場も解説

オーナー様向け

中村 亮太

筆者 中村 亮太

不動産キャリア5年

賃貸経営で弁護士に相談する不動産トラブルの内容は?費用相場も解説

賃貸経営をしていると、まれに予期せぬトラブルが発生することがあります。
不動産のトラブル解決には専門知識が必要になることが多く、弁護士に相談を考えることは珍しくありません。
そこで今回は、賃貸経営のなかで弁護士に相談したほうが良い不動産トラブルの内容はどのようなものか、弁護士に相談するメリット・デメリットと費用相場について解説します。

賃貸経営で弁護士に相談したほうが良い不動産トラブルの内容

賃貸経営で弁護士に相談したほうが良い不動産トラブルの内容

賃貸経営のなかで発生する不動産トラブルには、いくつかの種類があります。
そのなかでも、法的な専門知識を持つ弁護士に相談したほうが良いものをチェックしてみましょう。

入居者のトラブル①ペット飼育

ペット不可物件として賃貸経営をしていたとしても、入居者が無断でペットを飼育するケースは珍しくありません。
ペットを飼育する入居者がいると、室内にペット特有の汚れがにおいが残るだけでなく、入居者間のトラブルが発生するおそれがあります。
ペットの飼育をめぐるトラブルで弁護士に相談したほうが良いのは、立ち退き・明け渡しの要求を希望する場合です。
貸主側が強引に入居者の荷物を運び出せないのはもちろんのこと、損害の程度によっては契約解除すら難しい可能性があります。
どのような解決策があるか知りたいなら、具体的な状況を弁護士に相談するのがおすすめです。

入居者のトラブル②家賃滞納

賃貸経営をしているなかで悩みの種となりやすいのが、入居者の家賃滞納です。
家賃滞納が発生した場合には、支払いを求めて裁判を起こせますが、その前段階として一定期間の様子見が必要になります。
何とか退去してほしいと考えても、入居者を保護する法的なルールがあるため強硬手段に出られず、赤字経営に陥るリスクがあります。
何度催促しても滞納が続く場合には、法的な解決策について弁護士に相談するのがおすすめです。

不動産売買のトラブル①共有名義

親から賃貸物件を相続する場合、兄弟姉妹で共有名義とすることがあります。
共有名義の不動産は、共有者全員の同意がなければ全体を売却できません。
こうした状況において、兄弟姉妹のうちいずれかが自分の共有持分のみを売却してしまうと、大きなトラブルに発展することがあります。
売却先が悪質な業者の場合には、ほかの兄弟姉妹の持分を不当に安く買おうとしたり共有物分割請求を起こしたりすることが考えられます。

不動産売買のトラブル②隣地との境界

賃貸経営をやめて不動産を売却する場合、隣地との境界線をめぐるトラブルが発生しやすくなります。
とくに、代々相続されてきた不動産の場合には、長い年月のなかで境界線の認識があいまいになることは珍しくありません。
境界線が定まらないと隣地の所有者が売却にストップをかけることがあり、売却自体が進まずトラブルに発展してしまいます。
こうした境界線のトラブルについても、法律の専門家である弁護士のサポートを受けるのがおすすめです。

不動産トラブルを弁護士に相談するメリット・デメリット

不動産トラブルを弁護士に相談するメリット・デメリット

入居者とのトラブルや不動産売買をめぐるトラブルでは、弁護士のサポートを受けたほうが良いケースがあります。
しかし、弁護士への依頼には、メリットだけでなくデメリットがあることは注意点です。

メリット①早期解決につながる

不動産トラブルを弁護士に相談した場合、早期解決につながることがメリットです。
法的な専門知識がないと対処に困るトラブルでも、法律の専門家である弁護士ならば的確な解決策を提示できます。
また、入居者とのトラブルだけでなく、不動産会社など法人が相手となるトラブルが発生した場合、弁護士に相談すればスムーズな解決が期待できます。

メリット②面倒な手続きを一任できる

不動産トラブルが裁判へと発展した場合、個人での手続きは困難になります。
裁判に向けた準備にはさまざまな手続きや書類作成が必要ですが、賃貸経営以外に本業がある方にとっては高いハードルです。
弁護士に依頼するのであれば、こうした面倒な手続きを弁護士が対応してくれるため、自分の負担を減らせます。

デメリット①高額な費用が発生する

不動産トラブルを弁護士に依頼した場合、高額な費用が発生することがデメリットです。
費用相場は依頼する弁護士や依頼内容によって差があり、想定外の出費が賃貸経営を圧迫するリスクがあります。
弁護士に支払う費用には、依頼当初の着手金や解決時の成功報酬などがあります。

デメリット②トラブル相手との関係悪化

弁護士に不動産トラブルの解決を一任した場合、トラブル相手によっては圧力をかけられたと感じさせてしまうことがあります。
また、弁護士に依頼する不動産トラブルの多くは入居者の立ち退きや賃料回収を目的としているため、入居者から恨まれるリスクがあります。
とくに、不動産トラブルが解決した後にも良好な関係を続けていく必要がある相手の場合には、弁護士に依頼することがデメリットになるかもしれません。

賃貸経営で不動産トラブルを弁護士に相談する場合の費用相場

賃貸経営で不動産トラブルを弁護士に相談する場合の費用相場

不動産トラブルを弁護士に相談するメリット・デメリットをチェックしたら、具体的な費用について確認してみましょう。
費用相場は相談内容によってさまざまですが、おおよその目安の把握が大切です。

相談だけでも費用がかかる?

不動産トラブルが発生し弁護士事務所へ相談する場合、1時間ごとに費用が発生するのが一般的です。
具体的な金額は弁護士事務所により異なりますが、1時間あたり5千~1万円が費用相場となります。
ただし、弁護士事務所のなかには初回の相談を無料にしているところがありますので、まずは無料相談を利用してみても良いでしょう。
不動産トラブルに多くの実績がある弁護士かどうかを確認したい場合も、無料相談を利用するのがおすすめです。
また、自治体によっては定期的に無料の法律相談を実施しているところがあるため、そちらの利用も検討してみてください。

着手金とは?

不動産トラブルの解決を弁護士に依頼した場合、着手金として一定額の支払いを求められます。
着手金とは、弁護士との間で委任契約を交わしたタイミングで発生する費用のことです。
この着手金はトラブルが解決に至らなかったとしても返還されませんので、納得したうえで支払うことが大切です。
一般的な着手金の費用相場は、10万~30万円となります。
もちろん、相談の内容や弁護士事務所によって着手金の金額に差がありますので、委任契約を交わす前に確認しましょう。

成功報酬とは?

不動産トラブルを弁護士に相談し、トラブルが解決した場合に支払うのが、成功報酬です。
トラブルの内容が家賃回収など金銭の要求であれば、成功報酬の費用相場は回収した金銭の10~20%程度です。
また、トラブルが解決に至った場合には、成功報酬とともに実費の支払いが発生します。
この実費には、裁判にかかった印紙代・切手代のほか、弁護士の交通費や書類作成費が含まれます。
着手金のなかに実費を含める弁護事務所がほとんどですが、実費がかさむ場合には別途請求されるでしょう。

弁護士に依頼する場合の注意点

不動産トラブルを弁護士に相談する場合、トラブルが発生した状況をわかりやすくまとめておくことが注意点です。
もちろん、トラブル相手とのやり取りの記録や、自分でおこなった対処についてメモしておくことも大切です。
相談は1時間ごとに費用が発生しますので、短時間で説明できるよう準備しておきましょう。

まとめ

賃貸経営における不動産トラブルのなかでも、入居者の立ち退きや隣地の境界線をめぐるトラブルは、弁護士への相談がおすすめです。
弁護士に相談した場合、早期解決ができることがメリットですが、高額な費用がかかることはデメリットとなります。
相談料・着手金・成功報酬それぞれの費用相場をチェックして、弁護士への相談を検討してみましょう。


”オーナー様向け”おすすめ記事

  • 敷地内の粗大ゴミ放置について!リスクや処分の責任も解説の画像

    敷地内の粗大ゴミ放置について!リスクや処分の責任も解説

    オーナー様向け

  • 契約書なしでも家賃の支払い義務はある?家賃滞納時の対応についても解説の画像

    契約書なしでも家賃の支払い義務はある?家賃滞納時の対応についても解説

    オーナー様向け

  • アパート名の変更は空室対策になる?変更の流れをご紹介の画像

    アパート名の変更は空室対策になる?変更の流れをご紹介

    オーナー様向け

  • 提携保証会社一覧の画像

    提携保証会社一覧

    オーナー様向け

  • 賃貸物件の設備はリースと購入のどちらが適切?メリット・デメリットも解説の画像

    賃貸物件の設備はリースと購入のどちらが適切?メリット・デメリットも解説

    オーナー様向け

  • 賃貸物件や駐車場の雪かきは誰がやる?捨て場やトラブル回避の対策も解説の画像

    賃貸物件や駐車場の雪かきは誰がやる?捨て場やトラブル回避の対策も解説

    オーナー様向け

もっと見る