追い出し条項とは?違法とされた判例も解説

追い出し条項とは?違法とされた判例も解説

家賃滞納などのトラブルに備えて結んでいる賃貸借契約の条項が、実は法的に無効となるリスクを抱えていないかご不安ではありませんか。
問題のある契約内容をそのまま放置していると、入居者との間で深刻な訴訟に発展し、オーナー自身が損害賠償責任を問われる恐れがあります。
本記事では、賃貸経営に潜む「追い出し条項」の内容と、その条項が違法と判断された最高裁判例について解説します。
家賃保証会社との契約実態を正しく把握し、将来のリスクを回避して安全な賃貸経営を実現したいオーナーは、ぜひご参考になさってくださいね。

追い出し条項とは

追い出し条項とは

追い出し条項を理解するためには、定義の把握や実務での問題事例をおさえる必要があります。
まずは、追い出し条項の基本について解説していきます。

定義と代表的な条文

追い出し条項とは、家賃滞納などを理由に、裁判を経ずに契約解除や明渡しを進めようとする特約のことです。
賃貸借契約書や保証委託契約書に盛り込まれることがあるため、契約書本体だけでなく、特約欄や別紙まで確認しておきましょう。
代表例の1つである無催告解除条項は、家賃滞納が一定額に達した場合に、事前の催告なしで契約を解除できるとする内容です。
催告とは、相手に支払いを求める正式な通知であり、通常は解除前に踏む重要な手続きとされています。
また、みなし明渡条項は、連絡が取れない状況などをもとに、入居者が退去したとみなす内容です。
電気・ガス・水道の利用状況や郵便物の状況などを条件に、残された荷物の処分まで定めるケースも見られます。

強制退去などの実務

上記の条項を根拠に、現場では入居者を部屋に入れなくする対応が問題になることがあります。
具体的には、以下のような行為が挙げられます。

●鍵を交換し、入居できない状態にする行為
●補助錠を設置し、物理的に入室を妨げる行為
●合鍵を使用し無断で室内に入り、家具や家電などの残置物を運び出す行為
●複数人で訪問し、退去合意書への署名を強く求める行為


たとえ管理会社や保証会社が対応していても、その行為が適法とは限らないため、慎重な判断が必要です。
このような対応は自力救済にあたるおそれがあり、原則として避けるべきとされています。

よくある問題

よくある問題は、入居者が突然住まいを使えなくなり、日常生活に大きな支障が出る点です。
たとえば、室内に入れないと、着替えや薬、仕事道具など生活に欠かせない物を手元に置けなくなる場合があります。
また、不在中に私物が動かされると、通帳や書類などの所在がわからなくなり、確認や返還をめぐって話し合いが長引いてしまう可能性があります。
室内にペットを残している場合は、健康状態や安全面への不安が高まるでしょう。
こうした問題は入居者の暮らしを不安定にするだけでなく、貸主や物件への不信感にもつながります。
そのため、滞納時の対応は拙速に進めず、法律に沿った手順で冷静に対応することが大切です。

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令和4年の判決で違法とされた事例

令和4年の判決で違法とされた事例

前章では、追い出し条項の基本について述べましたが、実際の裁判で違法とされた事例についても確認しておきましょう。
ここでは、令和4年の判決で違法とされた事例について解説します。

判決経緯と問題の条文

令和4年12月12日の最高裁判決では、家賃保証会社の保証委託契約にある無催告解除条項と明渡みなし条項が、消費者契約法10条に違反すると判断されました。

●一定期間の家賃滞納があった場合、事前の催告なしに契約を終了させる条項
●入居者と連絡が取れず建物の利用も確認できない際、すでに明渡しが済んだとみなす条項


裁判では、契約書の文言や保証会社の主張を踏まえ、条項の効力が消費者契約法10条に照らして判断されました。
そのうえで、これらの条文が法律に照らして適切かどうかが判断される流れとなったのです。

居住権侵害の認定の理由

この判決で重く見られたのは、住まいが日々の暮らしを支える生活基盤だという点です。
そのため、一般的な契約以上に、入居者の居住の安定には十分な配慮が求められます。
とくに、鍵の交換や荷物の搬出を前提とする条項は、住み続ける利益を大きく損なうおそれがあると判断されました。
契約自由の原則があるとはいえ、居住の安定を著しく害する内容まで広く認められるわけではありません。
また、入居者が事情を説明したり異議を述べたりする機会が乏しい点も、問題として捉えられました。
そのため、滞納時であっても、裁判手続を経ずに退去を進める運用は認められにくいと、結論付けられました。

契約の見直しの要点

大家さんが契約内容を見直す際は、無催告解除やみなし明渡しの文言が残っていないか確認しましょう。
保証会社の約款や別紙に記載されている場合もあるため、契約書とあわせて確認することが大切です。
見直しでは、家賃滞納時の連絡手順や催告の方法を、明確にしておく必要があります。
また、法的手続きや強制執行へ移る基準、最終判断をする責任者も整理しておきましょう。
管理会社や保証会社とは、鍵の交換や私物の搬出を、独断でおこなわない方針を共有することも欠かせません。
書面と現場の判断基準をそろえることで、トラブルを防ぎやすくなり、安定した賃貸経営につながります。

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最高裁が追い出し条項を違法と判断した理由

最高裁が追い出し条項を違法と判断した理由

ここまで、実際の判決事例を解説しましたが、最高裁が違法と判断した核心理由もおさえておきましょう。
最後に、最高裁が追い出し条項を違法とした理由について、解説していきます。

消費者契約法との関係

最高裁判所は、居住目的の賃貸借契約について、消費者契約法第10条との関係を重視します。
この消費者契約法第10条は、消費者の利益を一方的に害する契約内容を無効とする決まりです。
そのため、入居者に大きな不利益を与えないか、当事者間の信頼を損なわないかが判断のポイントになります。
たとえ契約書に記載があっても、著しく公平性を欠く内容まで有効とは限りません。
事前通知のない契約解除や、勝手に退去したとみなす条項は、必要な法的手続きを飛ばす点が問題視されます。
住居の明渡しを求める場合は、裁判手続きを経たうえで、執行官を通じて進めることが基本となります。

顧客弱者性と信義則

最高裁は、入居者が住まいを失う不安を抱えやすく、契約上も弱い立場になりやすい点に注目します。
情報量や交渉力に差がある場合、入居者側の不利益が大きくなりすぎないかを慎重に見る必要があります。
また、契約ではお互いの信頼を損なわず、誠実に行動するという信義則も大切な考え方です。
そのため、入居者を一方的に不利にする条項は、信義則に反すると判断される可能性があります。
住まいは生活の土台であるため、単なる金銭トラブル以上に丁寧な対応が求められるでしょう。
大家さんと入居者の均衡を大きく崩す契約内容は、無効とされるおそれがあります。

判決後の実務と対応策

この判決を受け、保証会社では約款や現場対応の見直しが進むと考えられます。
大家さんも委託先に任せきりにせず、督促の記録や相談の経過を残しておくことが大切です。
滞納の初期段階では、電話や書面など複数の方法で連絡を取り、支払い相談にも丁寧に応じましょう。
また、緊急連絡先や勤務先情報を定期的に確認し、長期間連絡が取れない状況を防ぐことも必要です。
当事者間での解決が難しい場合は、早めに弁護士などの専門家へ相談すると良いでしょう。
法律に沿った手順を関係者間で共有しておくことが、物件の信用と安定した賃貸経営につながります。

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まとめ

追い出し条項による鍵交換や荷物撤去は自力救済にあたるため、立ち退きは法的手続きで進めることが重要です。
令和4年の判決では居住権の侵害が重く見られたため、大家さんは契約内容や運用基準の見直しが必要です。
最高裁も消費者の不利益を考慮するため、丁寧な連絡や専門家への相談が安定した賃貸経営につながります。

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