賃貸借契約の特約とは何か?トラブルを防ぐための注意点も解説

賃貸借契約の特約とは何か?トラブルを防ぐための注意点も解説

賃貸借契約書に記載される「特約」は、オーナーと入居者が合意のうえで設ける特別なルールです。
あらかじめ内容を理解しておくことで、思わぬトラブルを防ぎ、安心した賃貸経営につなげられます。
本記事では、賃貸契約書の特約とはなにか、注意すべきポイントもあわせて解説します。
これから賃貸管理・賃貸経営を始めたいとお考えの方は、ぜひご参考になさってください。

賃貸借契約書の特約とはなにか

賃貸借契約書の特約とはなにか

賃貸経営を始める際に、まず押さえておきたいのが賃貸借契約書についてです。
賃貸借契約書はオーナーと入居者の権利や義務、賃料や契約期間などを明確にする重要な書類です。
賃貸借契約書には「特約」といって、標準の契約内容にはないルールを個別に定めることができます。
まずは賃貸借契約書の特約について、基本的な内容から確認しておきましょう。

特約とは

特約とは、標準の契約内容に加え、当事者間の合意に基づいて特別に定める取り決めのことです。
賃貸借契約や売買契約に追加されるケースが多く、当事者それぞれの事情に沿った柔軟な契約が可能です。
また、あらかじめ条件を明確にしておくことで、トラブルの予防や問題発生時の円滑な対応にもつながります。
法律違反や公序良俗に反する内容は無効ですが、上記以外の特約は契約書に署名・捺印することで法的効力を持ちます。

強行法規に違反する規定は特約として認められない

特約はオーナーの裁量で決めることができますが、一定の規定に反する内容は認められません。
当事者の合意より優先される法規を「強行法規」と呼び、借地借家法によって定められています。
賃貸借契約で無効とされる代表的な特約には、以下のようなものがあります。

●賃貸人の要求があればいつでも無条件で解約できる
●契約を更新しない
●契約終了時に立退料等を一切請求しない
●契約期間を半年とする(定期借家契約は例外)


借地借家法は入居者を保護することを目的としているため、強行法規に違反する特約は契約書に記載しても法的効力は認められません。
トラブルを防止するためにも、契約書作成時には特約の内容が法令に抵触していないかを必ず確認しておきましょう。

▼この記事も読まれています
賃貸経営で取り入れたい人気設備は?ファミリーに支持されやすい設備も解説

賃貸借契約を作成する際に有効となる特約は?

賃貸借契約を作成する際に有効となる特約は?

先述したように、特約の内容によっては無効となるケースもあります。
それでは、具体的にはどのような特約が有効になるのでしょうか。
ここからは、賃貸借契約の作成で押さえておきたい特約の有効性について解説します。

室内の喫煙についての特約

室内での喫煙は、壁にヤニが付着したり室内に臭いが残ったりするため、次の入居者が決まりにくくなることがあります。
そのため、「室内での喫煙は禁止」とする特約を設けるオーナーも少なくありません。
上記の特約は一定の合理性が認められ、有効とされるケースが多いです。
近年は健康志向やたばこの値上げにより非喫煙者が増えており、室内喫煙禁止の物件も増加傾向にあります。
ただし特約を設けても、ベランダや換気扇の下で喫煙する入居者が出る可能性があります。
ベランダでの喫煙は煙や臭いが隣室に届き、洗濯物に臭いが付くことで入居者間のトラブルにつながることも珍しくありません。
また換気扇下での喫煙でも、量が多いと室内に臭いが染み付き、クリーニング費用が増える場合があります。
室内喫煙禁止の特約を契約書に盛り込む際は、ベランダや換気扇下での喫煙といった注意点を入居者にしっかり伝えておくことが重要です。

異性の宿泊についての特約

異性の宿泊を制限する特約は、ケースによって適否が分かれます。
たとえば女性専用の物件では、入居者が男性の出入りを避けたいという理由で部屋を選ぶことが多いため、異性の宿泊を制限する特約は合理的と判断されやすいです。
一方で、一般的な賃貸物件で特約を設けると、友人や知人の宿泊まで制限されることになり、現実的には運用が難しい場合があります。
一般的な賃貸物件で異性の宿泊制限を設ける場合、合理的な理由がないと無効と判断される可能性があります。
契約書に記載する際は、入居者のプライバシーや人格権に配慮した表現にすることが重要です。

原状回復費の特約

物件を退去するとき、入居者には部屋を元の状態に戻す「原状回復義務」が生じます。
賃貸物件の原状回復は、通常の生活で生じる汚れや経年劣化を除き、入居者の故意・過失による汚れや破損を修繕して返すことです。
賃貸借契約書に原状回復費用に関する特約を設ける場合でも、国土交通省のガイドラインに基づき、通常の経年劣化や使用による損耗は入居者負担にできません。
特約が有効と認められるためには以下の条件を満たす必要があります。

●特約に合理的・客観的な必要性があり、暴利的でないこと
●入居者が原状回復義務を通常以上に負うことを認識していること
●入居者がその義務を負う意思表示をしていること


さらに、負担範囲や金額が明確かつ予測可能であるか、負担が正当かどうかといった点も確認されます。
原状回復費の特約を契約書に盛り込む際は、これらの要件と基準を満たしているかを必ず確認しましょう。
特約条項の有効性に不安がある場合は、不動産会社にご相談ください。

▼この記事も読まれています
賃貸経営で注意したい入居者トラブルとは?具体的な事例や回避方法を解説

賃貸借契約の特約における注意点は?

賃貸借契約の特約における注意点は?

実際に特約を設ける際には、以下3つの点に注意しましょう。

法律に反しない特約内容とする

先述したように、賃貸借契約書の特約は基本的にオーナーが自由に設定できます。
しかし、法律で定められた「強行法規」に違反する内容は無効となり、トラブルの原因となってしまいます。
トラブルを避けるためにも、特約を決める際は法律や条例に反していないかを必ず確認することが重要です。

付帯する必要のある特約を設ける

特約は、契約の実態に合わせて必要な事項を明確にするために設けます。
たとえば、室内喫煙の可否、ペットの飼育、楽器の演奏、原状回復費の負担範囲など、入居者とのトラブルになりやすい項目を事前に契約書に盛り込むことで、後々のトラブルを防ぐ効果があります。
とくに原状回復費については、退去時のトラブルを防ぐためにも、経年劣化や通常損耗と入居者負担の線引きを明確にしておくことが大切です。
女性専用物件であれば、異性の宿泊制限など入居者の安心・安全を守る特約も有効です。
必要な特約を適切に設定することで、契約の実効性を高め、入居者との信頼関係を長く保つことができます。

曖昧な表現を避ける

特約を設定する際には、内容を曖昧にせず、具体的かつ明確に記載することが大切です。
たとえば「節度をもって喫煙すること」といった表現では、入居者や管理会社の解釈が分かれてしまい、トラブルにつながる可能性があります。
原状回復費や損耗の範囲、ペット飼育の条件、入居者の行動制限など、具体的な条件や制限を明記しましょう。
また契約時には入居者に十分に説明し、署名や捺印で同意を確認することで、特約の有効性を高めることができます。

内容を見直す

賃貸借契約書は一度作成したら終わりではなく、定期的に内容を見直し、必要に応じて更新・修正することが大切です。
特約は時間の経過や社会情勢の変化によって実態と合わなくなることがあるため、見直しを怠るとトラブルの原因になる場合があります。
とくに新たなトラブル事例の発生や法律改正があった際には、契約書の有効性や運用に影響が出る可能性もあるため注意が必要です。
また、口頭での取り決めは証拠が残らず、いざという時に効力を主張できないケースもあります。
必ず特約の内容は契約書に明記し、書面として残しておきましょう。

▼この記事も読まれています
賃貸経営における空室対策は?3つの対策を解説

まとめ

賃貸借契約書の特約は、オーナーと入居者の間で個別のルールを明確に定め、トラブルを未然に防ぐための大切な取り決めです。
設定する際は、法律に抵触しない内容であることを確認したうえで、契約の実態に合った項目を盛り込む必要があります。
さらに契約の有効性を保つためにも、特約の内容は曖昧な表現を避け、誰が読んでも分かるように具体的に記載することが重要です。

株式会社エムズの写真

株式会社エムズ

札幌市に根ざした長年の経験を活かし、迅速かつ誠実な賃貸管理サービスを提供しています。
アパマンショップ加盟店としての豊富な経験と、累計35,000件を超える仲介実績を基盤に、オーナー様の大切な資産価値を最大化するサポートをご提供します。
入居率96.1%という高い実績は、私たちがオーナー様そして入居者様双方から寄せられる信頼の証です。

■強み
・札幌市で20年以上にわたり賃貸管理に従事
・累計35,000件超の賃貸仲介実績
・家賃回収率99.9%、入居率96.1%、平均入居期間6年1ヶ月という高水準の管理体制

■事業
・賃貸物件の管理・運営
・不動産の売買・賃貸仲介
・貸事務所・貸倉庫の仲介