賃貸不動産経営管理士とは?物件オーナーが取得するメリットや難易度も解説

賃貸不動産経営管理士とは、賃貸物件の管理業務に特化した国家資格の一つです。
賃貸経営は、不動産分野の資格や専門知識を持っていない方でも始められますが、資格を取得することのメリットがわからない方も多いでしょう。
今回は、賃貸不動産経営管理士とはどのような資格なのか、賃貸物件オーナーが取得するメリットや試験の内容・難易度とあわせて解説します。
賃貸不動産経営管理士とは

賃貸不動産経営管理士とは、賃貸住宅(主にアパート・マンションなど)の管理業務に必要な知識・技能・倫理観を備えていることを認める国家資格です。
管理戸数が200戸以上の賃貸住宅管理業者は、各事務所ごとに1人以上の業務管理者を配置する義務があります。
業務管理者の要件を満たす資格の一つが賃貸不動産経営管理士です。
オーナーが所有する不動産を有効活用したり、賃借人などの安全・安心を確保したりといった役割を担う、賃貸住宅管理のスペシャリストです。
賃貸経営には賃貸不動産経営管理士が必要?
賃貸物件の経営にあたっては、必ずしもオーナー自身が、賃貸不動産経営管理士資格を取得する必要はありません。
専門家が在籍する会社に管理業務などを委託すれば、特別な知識がない方でも、自分が所有する物件で賃貸経営を始められます。
しかし、オーナーになるなら、賃貸管理に関する知識はひととおり身に付けておくに越したことはないでしょう。
オーナー自らが賃貸不動産経営管理士の資格を取得すれば、事業の助けになり、管理会社の担当者とも対等に話し合えます。
なお、不動産分野の国家資格といえば「宅地建物取引士(宅建)」が有名ですが、こちらは主に売買などの不動産取引にあたって必要なものです。
賃貸不動産経営管理士は、不動産のなかでも賃貸物件の経営・管理業務にフォーカスしているので、資格取得のための勉強を通じて実用的な知識を身に付けられます。
賃貸不動産経営管理士資格の取得方法
賃貸不動産経営管理士の資格は、毎年11月に実施されている賃貸不動産経営管理士試験に合格した後、所定の方法で資格者登録をおこなうと取得できます。
ただし、賃貸管理業務に関する2年以上の実務経験がない方は、資格者登録の前に「賃貸住宅管理業務に関する実務講習」の受講が必要です。
試験や講習を経て資格者登録を済ませれば、もともと不動産分野の知識や実務経験がなかった方でも、賃貸不動産経営管理士になれます。
資格は登録後の4月1日に付与され、以降5年間の有効期限がある点に注意しましょう。
一度試験に合格した方はいつでも再登録が可能ですが、失効している期間は、賃貸不動産経営管理士を名乗れなくなってしまいます。
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オーナー自身が賃貸不動産経営管理士資格を取得するメリット

賃貸物件のオーナーをしている方が、自ら賃貸不動産経営管理士資格を取得することには、主に以下のようなメリットがあります。
●物件管理会社などの担当者と対等に話ができる
●的確な運用によって物件の収益性が向上する
●適切な管理によって物件の長期的な資産価値が向上する
資格取得が、賃貸物件の経営にどのような利益をもたらすのかを解説します。
メリット①物件管理会社などの担当者と対等に話ができる
賃貸物件の経営にあたっては、物件の管理業務を委託する会社や賃借人(入居者)との契約が発生します。
高額な金銭のやりとりをともなうため、取引相手は「オーナーは信頼できる人物か」と気にかけるものです。
そこで、オーナー自身が賃貸不動産経営管理士の資格を保有していれば、賃貸物件の経営や管理に関する正しい知識を持っていることを客観的に示せます。
入居者からの問い合わせやトラブル相談に適切に対応できれば、信頼を獲得して長期的な契約につながります。
また、会社から信頼できるオーナーとみなされれば、不動産投資家としての取引の機会が増えるかもしれません。
メリット②的確な運用によって物件の収益性が向上する
賃貸物件の収益性を向上させるためには、入居率を常に高く保つ必要があります。
入居者のニーズに合う形態の物件を、より良い状態で提供することが重要です。
オーナーのなかには、代々物件を相続しているなどの理由で、専門的な知識を持たないまま賃貸経営をしている方もいるでしょう。
だからこそ、オーナー自身が賃貸不動産経営管理士の資格を取ることが、強い武器になります。
外部の会社に管理業務を委託しながらも、自分の知識を活かして経営戦略を立て、収益性向上を目指すことは十分に可能です。
メリット③適切な管理によって物件の長期的な資産価値が向上する
賃貸不動産経営管理士の試験では、建物の管理方法や設備投資に関する知識も問われます。
適切な管理によって良好な状態を保てば、入居率が向上して長期的な収益を確保できるうえ、将来の修繕やリフォームにかかる費用を少なく抑えられます。
どのような物件に高い需要があるのか、どの設備投資をすれば理想形に近づけられるのか、自ら判断できるようになることも強みの一つです。
さらに、物件ごと売却する場合の資産価値も高くなるため、不動産投資・運用においてさまざまな利益をもたらします。
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賃貸不動産経営管理士の試験内容・難易度

賃貸不動産経営管理士になるためにはどのような試験を受ける必要があるのか、資格取得の難易度はどのくらいかを解説します。
試験内容・形式
賃貸不動産経営管理士試験は、年1回・毎年11月、全国38地域の会場にて実施されています。
1万2,000円(非課税)の受験料を支払えば、年齢や実務経験の有無などは問わず、受験が可能です。
全50問・四肢択一方式の出題で、年度ごとに合格基準点が定められます。
賃貸物件の経営に関する実用的な知識として、2024年は以下の6項目が問われました。
●管理受託契約に関する事項
●管理業務としておこなう賃貸住宅の維持保全に関する事項
●家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理に関する事項
●賃貸住宅の賃貸借に関する事項
●法に関する事項
●その他、管理業務としての賃貸住宅の管理の実務に関する事項
賃貸経営に直結する物件管理の知識や、不動産関連法規の基礎知識を身に付ける必要があります。
試験の難易度
賃貸不動産経営管理士試験の合格率は令和元年以降、全体的に低下しており、難易度は上昇傾向にあります。
以下は、合格率に大きな変化があった、令和元年度前後の試験の合格基準点および合格率の推移です。
●令和3年度:40点(50問中)/31.5%
●令和2年度:34点(50問中)/27.7%
●令和元年度:29点(40問中)/36.8%
●平成30年度:29点(40問中)/50.7%
●平成29年度:27点(40問中)/48.32%
令和元年度の試験において合格率が激減し、翌年からは全40問だった試験が全50問に変更されました。
令和6年度には合格率が24.1%と過去最低になりましたが、受験者の増加にともなって、今後も難易度は上がっていくことが予測されます。
必要な勉強時間の目安
賃貸不動産経営管理士試験の受験にあたっては、最低100時間を勉強時間の目安としましょう。
予備知識や実務経験がある方は、より少ない勉強時間での合格も目指せますが、試験は年々難化傾向にあるため、入念な対策が必要です。
なお、2021年に施行された『賃貸住宅管理業法』により、管理業者の登録制度や業務管理者の配置義務が定められ、資格保有者の役割は一層重要になっています。
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まとめ
賃貸不動産経営管理士とは、賃貸住宅の経営をするための知識・技能・倫理観を備えている人材を認定する国家資格です。
賃貸物件のオーナーが自ら資格を取得すれば、管理会社に任せきりにするのではなく、自分の判断で物件の管理や経営戦略について考えられます。
試験の難易度は年々上がっているため、油断せず対策をしましょう。

株式会社エムズ
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