空室対策を理由にペット可物件にリフォーム!ニーズや注意点について解説

空室対策を理由にペット可物件にリフォーム!ニーズや注意点について解説

賃貸物件の空室が長期化すると、家賃収入の減少や物件の劣化など、さまざまなリスクにつながる可能性があります。
近年では、ペットと暮らしたいと考える入居希望者が増えており、ペット可物件への関心が高まっています。
とはいえ、ペット可物件はまだ少なく、他物件との差別化や空室対策として有効な手段といえるでしょう。
本記事では、ペット可リフォームの具体的なメリットや、実施時の注意点について解説いたします。

ニーズに応える空室対策のペットリフォーム

ニーズに応える空室対策のペットリフォーム

近年、コロナ禍の影響もあり、ペット可物件に対する関心がかつてないほど高まっています。
しかし、実際の供給は限られており、多くの物件所有者さまが頭を悩ませている現状です。
入居者アンケートでは「ペットが飼えるなら家賃が上がっても構わない」と答えた世帯が4割を超え、需要の大きさが数字にも表れています。

ペット可の賃貸物件数は少ないのが現状

現在、全国の賃貸住宅で「ペット相談可」とされる物件は約19%にとどまり、地方ではさらに比率が下がります。
人口が集中する都市部でも割合は2割前後で頭打ちとなっており、とくに大型犬対応物件はごくわずかです。
こうした供給不足により、ペットと暮らしたい入居者が住まい探しで行き詰まる例が後を絶ちません。
結果としてペット需要と物件提供側のミスマッチが生じ、空室が想定以上に長期化するケースが目立ちます。
ペット需要が高まる今、オーナー側の対応が遅れている点は大きな機会損失といえるでしょう。

ペット可物件が少ない理由とは

ペットによるフローリングや壁面の傷、におい残留などで原状回復費が高騰する懸念が大きく、敷金だけでは補えないケースもあります。
鳴き声や抜け毛による近隣トラブルも警戒され、管理会社やオーナーの対応負担が増えることも敬遠理由となります。
さらに、共用部の清掃体制や飼育ルール整備、動物アレルギーへの配慮など追加の管理項目が生じる点も課題の1つです。
小規模物件ではスタッフや資金面の制約から管理体制を整えにくく、最初から不可と判断されやすい傾向があります。
管理負担を軽減するためには、保険や保証サービスの活用、設備選定段階での耐久性確保など複合的アプローチが必要です。

空室対策としてペット可は有利

一方で、ペット可物件への需要は根強く、募集をかけると応募が集中しやすいです。
家賃も月6,000〜1万円上乗せでき、長期入居が期待できるため収益性と安定性の両面でメリットがあります。
ペットを飼う入居者は住み替えのハードルが高く、3年以上の長期入居率が高いことも特徴です。
足洗い場や消臭クロス、ペットドアなど専用設備を併設すれば競争力が高まり、早期成約につながります。
結果、広告費や空室期間が圧縮され、トータルの運営コスト削減にも貢献します。
ペット可にしたことで「ファミリー層からの問い合わせが増えた」といった声も多く、客層拡大にも期待できるでしょう。

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空室対策ペットリフォームのポイント

空室対策ペットリフォームのポイント

ペットが快適に過ごせる、住環境を整えるリフォームが注目されています。
所有物件をより魅力的にするために、床・壁・扉の3点に絞って解説いたします。
それぞれの素材選びや工夫で、入居者満足を高めながら空室対策につなげましょう。

床は傷や滑りにくさに配慮する

滑りにくく、柔らかいクッションフロアや、コルクタイルは転倒防止と掃除の手軽さを両立できます。
水や尿が染み込みにくく、日常の清掃もモップがけだけで済む点が飼い主に好評です。
ペット対応フローリングや、防音タイプを選べば爪音を抑え、集合住宅でも安心です。
防音材を下地に入れることでさらに足音を軽減でき、隣室トラブルを未然に防げます。
既存床をフロアコーティングで補強する方法も有効で、耐久年数はUVで20〜30年程度、シリコン系で5〜10年程度です。
施工費は1㎡あたり、3,000〜5,000円程度と比較的手軽で、既存床を活かしながら防滑性と光沢を長期維持できます。
室内全体を貼り替える余裕がない場合でも、ペットがよく歩く導線のみ部分施工する手法も選択肢です。
ペット用ジョイントマットを併用することで、季節ごとの温度変化にも柔軟に対応できます。

ドアは通り抜けや引っかき防止を意識

くぐり戸付きドアを設置すれば室内の移動が自由になりストレスや無駄吠えを軽減できます。
飼い主が外出時もペットがトイレや水飲み場へ行き来しやすく、室内環境のストレスを最小化できます。
ドア表面は耐傷パネルや樹脂加工で保護し、猫の爪とぎ対策には透明パネルや保護シートを貼ると、原状回復が容易です。
これらは、ホームセンターで購入でき、数千円から導入できるためコストパフォーマンスも良好です。
ペットドアはDIY設置も可能で、扉を交換せずに済むタイプを選べば工期短縮とコスト削減につながります。

壁は防臭・防汚・引っかき対策を施す

玄関や部屋の角には、腰壁を設けて傷を予防します。
また、腰壁部分を硬質パネルにすると掃除がしやすく、見た目もすっきりします。
珪藻土やエコカラットなど調湿・消臭素材を使えばにおい対策にも有効です。
これらの素材は湿度調整効果も高く、結露防止によるカビの発生も抑えられるでしょう。
耐傷性クロスを選ぶと引っかきに強く、貼り替えも簡単で将来のメンテナンス費を抑えられます。
クロスは部分張り替えが可能なため、退去時の補修コストも低減します。
防汚機能付きワックスと組み合わせれば、清掃負担も減るでしょう。
色味をアクセントにするとデザイン性も高まり、物件の印象を引き締められます。

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空室対策ペットリフォームの注意点

空室対策ペットリフォームの注意点

ペット可物件へのリフォームには、多くのメリットがありますが、一度方針を変えると元に戻すのは極めて難しい点に注意が必要です。
賃貸経営をよりスムーズに進めるためのヒントとしてお役立てください。

一度ペット可にすると元に戻すのは難しい

ペット対応仕様に変えると、設備撤去や再施工に高額な費用と工期がかかるため、元の条件へ戻すのは実務上困難です。
入居者との信頼関係や管理規約の整合性もあり、途中で条件を後退させることは避ける必要があります。
将来的な計画を立てたうえでリフォーム方針を決定し、長期的に運用できる体制を整えましょう。
万一戻す場合は、リフォーム費用だけでなく入居者募集停止期間も発生するため、想定以上の機会損失が生じます。

飼育ルールや原状回復の取り決めが必要

契約書に飼育ルールと原状回復範囲を明記し、退去時の消臭・補修費用を借主負担とする特約を合理的に定めます。
曖昧なままだと費用負担トラブルにつながるため、具体例を挙げて文章でしっかり取り決めておくことが重要です。
ペットの種類や頭数制限、共用部利用マナーなどもルール化し、入居者が守りやすい形で周知しましょう。
トラブル発生時の連絡フローや罰則規定を事前に示しておくと、管理側の対応がスムーズになります。

既存の入居者の同意を取ることが重要

既存入居者には、説明文書を配布し書面で同意を得ます。
反対意見がある場合は、段階的導入や該当住戸への配慮を検討しましょう。
騒音やにおい対策を事前に示すことで安心感を提供し、合意形成をスムーズにします。
分譲マンションでは、管理組合の特別決議(区分所有者数および議決権の4分の3以上)が必要です。
一部区画のみペット可とする限定運用を採用すれば、反対住戸との共存も図りやすくなります。

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まとめ

ペット可リフォームは、入居者ニーズの高まりに応える有効な空室対策として、多くの物件で注目されています。
差別化を図るためには、床材や防音対策など設備面での工夫や物件構造との相性を見極めることが重要です。
既存の入居者への配慮やルールの整備も欠かさずおこない、将来を見据えた計画的な導入を心がけましょう。

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株式会社エムズ

札幌市に根ざした長年の経験を活かし、迅速かつ誠実な賃貸管理サービスを提供しています。
アパマンショップ加盟店としての豊富な経験と、累計35,000件を超える仲介実績を基盤に、オーナー様の大切な資産価値を最大化するサポートをご提供します。
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