賃貸経営における敷金償却とは?会計処理の方法や注意点をご紹介

賃貸経営における敷金償却とは?会計処理の方法や注意点をご紹介

賃貸経営では入居者から敷金を預かりますが、敷金には敷金償却が適用されます。
敷金償却については、敷金そのものほどの知名度がなく、入居者とトラブルになりやすいため注意が必要です。
今回は、賃貸経営における敷金償却とは何か、会計処理の方法や敷金償却の注意点についてご紹介します。

賃貸経営における敷金償却とは何か

賃貸経営における敷金償却とは何か

賃貸物件の入居者からは、入居時の初期費用として敷金を受け取ります。
敷金償却とは、この敷金に対して適用される概念であり、敷引とも呼ばれる存在です。
いずれ入居者に返さなければならない敷金と異なり、入居者が退去するときにも返さなくて良い分を指します。

敷金償却金とは

敷金のうち、敷金償却が適用され、返金しなくて良くなった分のお金を敷金償却金と呼びます。
敷金償却金とは、入居者が住んでいた期間に発生した汚損の修繕やクリーニングのために、敷金から差し引く費用です。
賃貸物件の敷金償却金には、原状回復費用を「償却金」として差し引くパターンと、敷金のうちの何割かをあらかじめ「保証金」として差し引くパターンがあります。
敷金償却を適用して敷金償却金を発生させるためには、賃貸借契約に特約をつけておかなければなりません。

敷金との違いとは

敷金とは、賃貸物件の入居者から入居時に支払われる初期費用の一種です。
入居者が退去するときに発生する原状回復費用や、入居者が家賃を滞納したときに充当するリスクヘッジの役割を持つ費用になります。
敷金は入居中にトラブルがなく、入居者に責任がある形での原状回復が発生しなかったときは、返金しなければならない預り金です。
敷金の相場は家賃の1~2か月分ですが、空室対策のために敷金を取らない賃貸経営者もいます。
返金することを前提に預かるのが敷金ですが、契約によってそのうちの何割かをあらかじめ返金しなくても良いように定めたのが、敷金償却金です。

敷金償却金の目安とは

敷金償却金をいくらにするかについては任意ですが、高額すぎると認められないこともあります。
目安としては敷金の6割程度とされますが、敷金をいくら受け取っているのか、入居年数は何年なのかによっても変動します。
敷金償却金の割合は、賃貸物件での入居期間が長いほど、上がっていく契約になっているのが一般的です。
ただし、空室対策の一環として、礼金ゼロやペット可、DIY可などを掲げているにも関わらず、敷金償却の特約をつけてしまうと入居者に敬遠される可能性があります。

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賃貸経営における敷金償却の会計処理

賃貸経営における敷金償却の会計処理

敷金償却金は返金しなくて良いため、売上として会計処理することが可能です。
一方で、会計処理の方法については状況によって変動するため、やや複雑な傾向にあります。

敷金償却の会計処理における消費税

経営している賃貸物件の用途によって、会計処理における消費税の有無は異なります。
敷金そのものについては、いずれ返金する費用であり、売上ではないため消費税は発生しません。
また、経営している賃貸物件が一般的な住居用の物件であるときは、敷金償却が発生しても非課税取引となります。
経営している賃貸物件がオフィスや店舗などの事業用物件であるときは、敷金償却は課税取引となるため、消費税の納付が必要です。
敷金償却金があらかじめ契約によって決まっているのであれば「長期前払費用」として、帳簿に消費税を含めた金額を記入します。
たとえば、事業用物件で家賃の4か月分を敷金として預かり、そのうち1か月分を敷金償却金とするとき、消費税の対象となるのは1か月分のみです。

敷金償却の会計処理における勘定項目

敷金償却を会計処理するときの勘定項目は、敷金がどの段階にあるかによって3つに分かれます。
まず、敷金を預かったばかりのときは「預り金」としての仕訳が必要です。
入居者の退去に伴い、敷金を返金するのであれば、返金される金額が「現金または預金」として処理されます。
そして、返金する分を除いて、敷金償却金として賃貸経営者が受け取る金額を「売上」として処理するのです。
返金前提で預かっている敷金については、預り金として処理する必要がありますが、賃貸経営者が受け取れる償却金については売上として処理できます。

敷金償却における会計処理の方法

返金する前提で預かっている敷金については、預り金となるため、収益計上は必要ありません。
一方で、退去する相手に返金しない分の費用については、売上として収益計上する必要があります。
敷金のうち、いくらが返金されないかが決まるのは、契約締結時、契約期間の経過中、契約の終了時の3パターンです。
敷金償却金が決まった段階で、経年による償却されていくとの決まりごとができたときは、定められた年数に分けて収益計上します。
敷金償却金のみで、物件の汚損の修繕費やクリーニング費用を賄いきれないときは、返金予定だった敷金から必要な金額を充当しましょう。
返金した分の敷金は、現金または預金、充当した分の敷金は「修繕費」の処理になります。

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賃貸経営における敷金償却の注意点

賃貸経営における敷金償却の注意点

敷金償却については、敷金の存在ほど知名度がないこともあり、入居者とトラブルになりやすい注意点があります。
入居者によっては、預けた敷金はすべて返金されるものと思っているケースもあるためです。
敷金償却にどのような注意点があるのかを把握し、トラブルの発生に備えると良いでしょう。

敷金償却契約の注意点

敷金償却を適用して敷金償却金を受け取るためには、敷金償却契約が必要です。
敷金償却契約とは、敷金の一部または全額を敷金償却金として差し引く契約のことを指します。
入居者にとっては不利に見える契約ではあるものの、金額が大きくなければ、裁判でも有効性が認められる契約です。
ただし、敷金償却金として差し引く金額が大きすぎると、認められにくくなる注意点があります。
高額すぎる敷金償却金を設定していると、消費者保護の観点から、敷金償却契約が無効になる可能性が高いです。

敷金償却契約には入居者の合意が必要

敷金償却契約に関する注意点として、契約を有効にするためには、入居者の合意が必要になります。
契約書にしっかり敷金償却金の金額を明記したうえで、入居者にも説明し、確認を取って契約書にサインしてもらうことが大切です。
敷金償却金の返還について裁判になった事例では、契約書への金額の明記とサインの存在によって、敷金償却契約の有効性が認められています。
逆に言えば、契約条件の一環として敷金償却金の金額を明記せず、十分な説明責任を果たしていないと見なされれば、合意のない契約として無効になる可能性があるでしょう。
消費者保護の観点から、合意のない契約については、無効になる可能性が高いのが注意点です。

賃貸借契約締結時の記録を取っておく

敷金償却の注意点として、トラブルを防ぐためには、賃貸借契約を締結したときの物件内の状態を記録しておくのが望ましいです。
入居者が物件を使用しているなかで発生した汚損については、入居者が預けた敷金による修繕やクリーニングをおこなえます。
しかし、入居時点ですでに存在していた傷や汚れについては、入居者が費用を負担する必要はありません。
そのため、入居時点での物件内の状態が明確に分かっていないと、原状回復と敷金を巡ってトラブルになりやすいです。
物件内の写真をあらかじめ撮影しておくなど、明確な記録に残しておくと、重大なトラブルに発展しにくくなるでしょう。

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まとめ

賃貸経営における敷金償却は、特約によって返金しなくて良い敷金償却金が発生することを指します。
敷金償却金について、会計処理上は売上として処理され、事業用物件の経営であれば消費税が発生するため注意が必要です。
敷金償却を契約に盛り込むには、入居者への説明と合意が求められます。

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