外国人の入居は可能か?受け入れの課題や事前準備についても解説

外国人の入居は可能か?受け入れの課題や事前準備についても解説

近年では、外国人の入居を受け入れる賃貸物件が増えつつあり、経営の新たな可能性として注目されています。
空室対策や安定した賃料収入が見込める一方で、文化や言語の違いによる課題も慎重に考慮する必要があります。
トラブルを未然に防ぐためには、入居前の丁寧な説明や明確なルール設定が重要なポイントとなるでしょう。
この記事では、外国人入居を受け入れる際の利点とリスク、そして対応策について詳しく解説いたします。

外国人入居受け入れのメリット

外国人入居受け入れのメリット

外国人入居は、空室対策や収益向上につながります。
入居機会が広がるほど安定した家賃収入を得やすく、経営計画を立てやすい点も魅力です。
ここでは、具体的な3つの利点を取り上げます。

入居率の向上と空室対策

日本では、言語や慣習の違いを理由に外国人が入居を断られることが少なくありません。
「外国人歓迎」を掲げることで競合物件との差別化が進み、募集開始から成約までの期間を短縮できます。
さらに、留学生や技能実習生は通勤・通学の利便性よりも賃料や家具・家電の有無を優先する傾向があるため、築年数が古い物件や駅から離れた住宅でも入居が決まりやすいです。
これにより、一般的に空室リスクが高い物件でも安定した稼働率を維持できます。
家具や家電をそろえたワンルームを地方都市に用意し、2~3年単位で留学生に貸すスキームが代表例です。

紹介による新たな契約機会の増加

外国人入居者は、同郷の知人や職場の仲間と密接に連絡を取り合うため、実際に住んだ体験が口コミとなって新しい入居者を呼び込みます。
紹介経由の契約は、物件や管理者への信頼があらかじめ形成されているため、入居後のクレームが少なく、長期入居につながりやすいという利点があります。
また、広告費や仲介手数料を抑えられるため、運営コストの削減にもつながるでしょう。
信頼の連鎖は、地域コミュニティの形成にも寄与し、退去後も次の入居者が途切れにくい仕組みを生み出します。
さらに、地方にある専門学校や観光地の宿泊業と提携すれば、留学生や季節労働者の短期滞在需要も取り込めます。

割高な家賃設定による収益性の向上

家具・家電付き、インターネット完備、多言語サポートなど付加価値の高い物件は、選択肢が限られる外国人にとって魅力的です。
利便性や手続きの簡便さを重視する入居者が多いため、相場より高い賃料設定でも契約が成立しやすく、オーナーは収益性を向上できます。
くわえて、法人契約で社員寮として利用されるケースでは、敷金や一括前払い家賃が設定される場合もあり、キャッシュフローが安定するでしょう。
実際に、周辺相場より10~20%程度高い賃料で運用できた事例も報告されています。
短期賃貸と長期賃貸を組み合わせた月単位のフレックス契約を導入すると、退去時の損失を抑えつつ稼働率を高く保てます。

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外国人入居受け入れのデメリット

外国人入居受け入れのデメリット

メリットが多い一方で、言語や文化の違いに起因するリスクへの備えは欠かせません。
ここでは、代表的な3つの課題と対処法を解説します。

コミュニケーションの壁によるトラブル

最大の課題は、言語の壁による誤解です。
契約条項やゴミ出しなどの生活ルールを正確に伝えられないと、トラブルにつながります。
たとえば、廊下に私物を置いてはいけないことや自治体指定の袋を使用することなど、日本独自のルールは母国に存在しないケースが多いため、多言語のイラスト付きガイドを配布し、入居時に口頭でも確認することが重要です。
さらに、靴を脱がない習慣や夜間に友人を招く文化がある場合には、騒音苦情対策として時間帯ルールを明文化しておくと摩擦を防げます。
翻訳アプリは便利ですが、契約のように法的拘束力を伴う内容は人による最終チェックが欠かせません。
くわえて、災害時の避難情報を多言語で用意し、定期的に訓練を案内することも安全面で重要です。

家賃滞納リスクとその対策

最新の調査では、外国人と日本人の滞納率に大差はないものの、在留期間が短い入居者や転職直後の入居者は支払い能力が不安定になりがちです。
在留カードや就労証明で雇用形態と残り在留期間を確認し、多言語対応の保証会社と契約することで、信用調査と立替払いを一括で任せられます。
保証会社は滞納が発生した際に即時立替を行い、オーナーのキャッシュフローを守るだけでなく、入居者との交渉も代行するため、管理負担を大幅に軽減できます。
法務省によると、2024年末の在留外国人数は約356万人で前年より10万人増加しており、潜在的な入居需要は今後も拡大が見込まれるでしょう。

連帯保証人確保の難しさ

日本の賃貸契約では連帯保証人を立てることが一般的ですが、外国人は日本国内に親族や知人が少なく、信頼できる保証人を確保しにくいです。
この障壁は保証会社を利用することで解消でき、オーナーの心理的・実務的負担も軽減します。
勤務先が保証人になれる場合は少ないため、保証会社の活用を前提に入居募集をおこなうとスムーズです。
保証会社のプランには、滞在期間に合わせた短期契約型もあり、在留更新の都度再審査がおこなえる仕組みも整っています。

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外国人入居受け入れの事前準備と注意点

外国人入居受け入れの事前準備と注意点

受け入れ前にルールや体制を整えることで、文化や言語の違いによるトラブルを防げます。
ここでは、準備の要点を紹介します。

ガイドラインの整備と入居条件の明確化

物件ごとの入居条件や生活ルールを文書化し、母国語の案内も添えると管理が円滑になります。
また、掲示物はイラスト中心にすると理解が早まります。
ゴミ出しや共用部の使用マナーなどの細則を明示し、契約前に「騒音を出さない」「定期点検に協力する」などへの同意を得ておけば、入居後のトラブルを抑えられるでしょう。
万が一ルールを守れなかった場合の罰則や改善手順も合わせて提示しておくと、管理方針が明確になり双方に安心感が生まれます。
オンラインで確認できる入居者専用ポータルを用意すると、連絡漏れを防ぎ、サポート効率が高まります。

在留資格・パスポートなど身分確認の徹底

在留カードとパスポートで資格と期限を確認し、コピーを取得することが基本です。
就労ビザの場合は勤務先と収入を、留学生なら在学証明と仕送り状況を確認して支払い能力を判断します。
さらに、国内の緊急連絡先や母国の連絡先を控えておけば、万が一の事故や災害時にも迅速に連絡が取れるため安心です。
顔認証付きの本人確認アプリを併用することで、書類偽造リスクを減らし、更新手続きもオンラインでおこなえるようになります。
また、定期的に資格更新のリマインダーを送ることで、在留期限切れによる不法滞在リスクを未然に防げます。

保証会社の活用でトラブルを未然に防ぐ

外国人向けの保証会社を利用すれば、多言語サポートと家賃立替機能により滞納や契約違反を抑えられます。
保証人が不要となり、入居審査やトラブル対応も委託できるため、管理者の負担が大幅に軽減します。
初回保証料は月額賃料の50~100%程度が一般的ですが、長期契約や複数戸数をまとめて利用すると割引が適用される場合があるでしょう。
くわえて、24時間対応のコールセンターを備える保証会社であれば、夜間や休日の緊急連絡先としても活用でき、入居者の安心感向上と物件の信頼性向上につながります。
さらに、審査結果をデジタルで共有できるサービスを選べば、管理会社との情報連携も迅速です。
契約書や重要事項説明は電子化してクラウド保存すれば、母国からでも内容を確認でき、安心感が高まります。

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まとめ

外国人入居者を受け入れることで、空室リスクの軽減や賃貸収益の安定化といった経営上のメリットが期待できます。
一方で、言語や文化の違いによるトラブルを防ぐためには、入居前のルール共有やサポート体制の構築が欠かせません。
安心して受け入れるためには、契約内容の見直しや支援制度の活用など、事前準備を徹底することが重要です。

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株式会社エムズ

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