賃貸物件における家賃債務保証とは?サブリースとの違いを解説

賃貸物件における家賃債務保証とは?サブリースとの違いを解説

賃貸物件を運営しているオーナーにとって大きなリスクとなる家賃の滞納は、家賃債務保証によってカバーできます。
家賃債務保証に似ているサブリースのサービスもあり、両者の違いを知っておくことはリスクヘッジにおいて重要です。
そこで今回は、賃貸物件における家賃債務保証とはなにか、メリットやサブリースとの違いについて解説します。

賃貸物件における家賃債務保証とは?

賃貸物件における家賃債務保証とは?

賃貸物件の運営を始めるにあたって、初めて家賃債務保証について耳にした方がいるかもしれません。
ここでは、家賃債務保証の基本知識と仕組み、需要が高まっている背景について解説します。

家賃債務保証の基本知識

家賃債務保証とは、保証会社が賃貸物件の入居者とオーナーに対して提供するサービスです。
家賃債務保証には、「連帯保証人」と「家賃の立て替え」の2つの役割があります。
入居者にとっては、連帯保証人を立てなくても、希望する物件に入居できる有用なサービスです。
また、家賃の滞納が発生した場合は、保証会社から滞納分が支払われるため、オーナーは安定性の高い賃貸物件の運営ができます。

家賃債務保証の仕組み

家賃債務保証には、一般保証型と支払委託型の2種類の仕組みがあります。
一般保証型は、滞納が発生した場合に、保証会社がオーナーに弁済し、その後入居者に弁済を請求する仕組みです。
支払委託型は、滞納時以外の通常時も保証会社がオーナーに家賃を支払い、入居者に立替金を請求します。
どちらの型も、初めにオーナーと入居者が賃貸借契約を結んだ後で、それぞれが保証会社と契約を結びます。
入居者は保証会社に保証料を払う必要がありますが、オーナーは負担しません。

家賃債務保証の需要が高まっている背景

家賃債務保証の利用は年々増加しています。
2010年には民間賃貸住宅での利用率が39%だったのに対し、2020年には80%まで増加しているのが現状です。
独居の高齢者や外国人労働者が増えている点は、利用増加の背景のひとつです。
連帯保証人が見つけられない方や家賃滞納が危惧されるケースが増えたため、家賃債務保証の利用を望むオーナーが多くなっています。
さらに、家賃債務保証は障がい者、子育て世帯など住宅の確保に配慮が必要な方への政府の施策としても利用されています。

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賃貸物件における家賃債務保証のメリット・デメリット

賃貸物件における家賃債務保証のメリット・デメリット

前述のとおり、家賃債務保証には一般保証型と支払委託型の2種類があります。
ここでは、それぞれのメリット・デメリットを解説します。

一般保証型のメリット・デメリット

一般保証型では、滞納発生時以外の通常時の家賃は、入居者からオーナーに直接支払われます。
この方式のメリットは、オーナーが入居者の支払い状況を把握しやすい点です。
入居者の滞納が続いた場合、オーナーは前もって退去の可能性を予測することもできます。
一般保証型のデメリットは、滞納の都度オーナーによる請求が必要な点です。
オーナー自ら賃料の管理をおこなう手間があるかわりに、賃料の支払い状況を把握しやすいのが一般保証型の特徴といえるでしょう。

支払委託型のメリット・デメリット

支払委託型は、滞納時以外の通常時でも、保証会社がオーナーと入居者の間に入り、賃料の管理をおこないます。
支払委託型のメリットは、入居者の滞納の有無に関わらず、毎月末に家賃全額が入金されるため、オーナーのキャッシュフローが安定する点です。
オーナー自身が賃料の管理をおこなう必要がないため、手間が軽減される点もメリットといえます。
家賃の滞納が生じた場合も、オーナーによる請求は必要がありません。
一方で、入居者とオーナーとの間で金銭のやり取りがないため、入居者の状況が把握しにくい点はデメリットです。

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賃貸物件における家賃債務保証とサブリースとの違い

賃貸物件における家賃債務保証とサブリースとの違い

家賃債務保証と似ているサービスとして、サブリースがあります。
賃貸物件を運営するオーナーにとって、両者の違いやそれぞれの注意点を知っておくことは大切です。
ここでは、家賃債務保証とサブリースの違い、それぞれの注意点、保証会社の選び方について解説します。

家賃債務保証とサブリースの違い

家賃債務保証とサブリースの共通点は、オーナーに対し家賃が保証される点です。
しかし、両者には、契約や基本的な仕組みにおいて大きな違いがあります。
サブリース会社は、オーナーから物件を借り上げて入居者へ転貸をします。
入居者の有無に関わらず、サブリース会社から毎月一定の家賃が支払われるため、オーナーは安定した収入の確保が可能です。
サブリースされた賃貸物件は、入居・退去対応、物件管理などのすべての運営をサブリース会社がおこないます。
一般的には、オーナーが所有する土地に賃貸物件を建て、サブリース契約を結ぶケースが多いです。
そのため、同じ会社の賃貸物件が同じ地域内に乱立するケースもあります。
サブリースは、他に本業があるオーナーなど、賃貸物件の運営をまとめて委託したい場合に適した方法です。

サブリースの注意点

サブリースは、契約更新時に家賃が変更される可能性がある点に注意が必要です。
同じ地域にサブリース会社の賃貸物件が乱立した結果、入居者が見つからなくなり、空室が増えて契約家賃が値下げされるなどの事態が起きています。
また、オーナーが物件の状況や運営状況を十分に把握していないことによるリスクもあります。
原状回復工事や大規模修繕において、サブリース会社の決定により、相場より高額な費用を負担するケースがある点にも注意が必要です。
さらに、賃貸物件が満室になった場合でも、サブリース会社から支払われる賃料は同額であり、収益の最大化は図れない点も覚えておきましょう。

家賃債務保証の注意点

家賃債務保証は、サブリースに比べて、物件の運営においてオーナーに主導権があります。
保証会社は、入居者にとって連帯保証人の立場となります。
入居者は、物件の入居時に保証料の支払いをする必要があり、人によっては金銭的に大きな負担に感じる場合があるでしょう。
家賃債務保証を利用していない物件に比べると初期費用が高くなるため、入居をあきらめる方もいるかもしれません。
入居者がなかなか決まらず、空室状態が続くとオーナーにとって損失となるため、注意が必要です。
また、保証会社の倒産のリスクもあります。
保証会社が倒産すると、保証会社と入居者の契約は解約され、入居者は連帯保証人がいない状態となります。
この状態で滞納が生じても、オーナーは本人以外への督促ができなくなるため、注意しましょう。

保証会社の選び方

家賃債務保証を利用する場合は、財務基盤が強固な会社を選ぶことが大切です。
多くの件数の入居者と契約している保証会社の財務基盤が強固でなければ、滞納の保証をしっかりと果たすことはできません。
一般的には、自己資本比率が40%以上の上場会社は安定しているといわれています。
保証会社と契約する前に、財務状況を調査しておくことは大切です。
また、不動産会社と強いネットワークがある保証会社を選ぶのもおすすめです。
空室対策として客付けをおこなう会社を選べば、安定した経営が可能になるでしょう。

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まとめ

賃貸物件における家賃債務保証とは、入居者の連帯保証人となり、滞納があった場合にオーナーに返済するサービスです。
家賃債務保証を利用すると、賃貸物件の運営が安定化し、連帯保証人が見つけられない方の入居も可能になるメリットがあります。
家賃債務保証は、物件の管理をオーナーがおこなうのに対し、サブリースは、運営まですべてサブリース会社に委託する点で違いがあります。

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