賃貸物件に屋上防水工事はなぜ必要?理由・タイミング・費用相場を解説

賃貸物件に屋上防水工事はなぜ必要?理由・タイミング・費用相場を解説

賃貸物件を経営するにあたり、貸主は屋上防水工事を実施しなければなりません。
しかし、屋上防水工事がいつ必要になるのか、なぜ施行しなければならないのかなど知らないことが多く、不安を感じている貸主もいるのではないでしょうか。
今回は、賃貸物件の屋上に防水工事が必要な理由と施工のタイミング、費用相場を解説します。

賃貸物件に屋上防水工事が必要な理由

賃貸物件に屋上防水工事が必要な理由

賃貸物件になぜ屋上防水工事が必要か理解を深めるためにも、まずは屋上防水工事とは何かを知っておきましょう。

屋上防水工事とは

屋上防水工事とは名前のとおり、建物の屋上に実施する防水工事です。
アパートやマンションは屋上がある建物であり、管理人に対しては屋上の点検および修繕が義務付けられているため、賃貸経営においては欠かせないメンテナンス作業と言えるでしょう。
賃貸物件の屋上防水工事として代表的な工法は「ウレタン防水」「シート防水」「アスファルト防水」の3種類に大別できます。
このなかから賃貸物件の屋上に適した方法を選択し、施工業者に防水工事を依頼します。

屋上防水工事を実施する理由

防水工事をおこなう理由は屋上からの雨漏り防止です。
アパートやマンションなど賃貸物件の屋上は常に雨風にさらされる状況で劣化しやすく、放置し続けると外壁のひび割れなど防水機能が低下するおそれがあります。
防水機能が低下すると雨水が屋上から侵入し、賃貸物件内に雨漏りが発生するほか、カビの繁殖や物件そのものの腐食にもつながります。
また、陸屋根タイプと呼ばれる平らな屋根は雨水が流れにくく、雨が降ると屋上に雨水がたまりやすいため、防水機能が低下したままでは雨漏りしやすいです。
屋上防水工事を怠ったことが理由で雨漏りが発生すると、入居者から苦情が入るほか、漏電など二次被害につながる懸念もあります。
事故防止の観点から考えても、屋上防水工事を施工する理由としては十分と言えるでしょう。

定期的な屋上防水工事はコスト増加を防ぐ

屋上防水工事をしなければならない理由には、賃貸物件の屋上のメンテナンスを怠ると大規模修繕が必要となり、結果的に大幅なコストの増加を招くおそれがある点が挙げられます。
仮に屋上防水工事を済ませたあと、点検をせずに放置し、経年劣化により大規模修繕が必要になると、費用が初期段階の数十倍にまで膨れ上がるケースがあるのです。
手間がかかるなどの理由から定期的なメンテナンスを実施しないままでは、雨漏りを原因とした天井の崩落や床の傷みなど追加の修繕費用の負担が必要になることもあるでしょう。
家財道具が雨漏りにより水浸しになると、入居者から損害賠償請求されるおそれも考えられます。
万が一のリスクに備えるためにも、定期的な賃貸物件の屋上防水工事は重要です。

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賃貸物件の屋上防水工事を実施するタイミング

賃貸物件の屋上防水工事を実施するタイミング

賃貸物件の屋上防水工事は、雨漏りの発生と防水層の劣化、雑草が確認されたタイミングで実施すると良いとされています。

タイミング1.雨漏りの発生

賃貸物件で雨漏りが発生したら、速やかに屋上防水工事を実施しなければなりません。
雨が降ったあとにお部屋の天井から漏水する状況では、すでに屋上の防水層の劣化が始まっていることを意味します。
繰り返し漏水が起きるとお部屋の天井が黒く変色するだけでなく、天井材が剥がれ落ちる事態にもつながります。
とくに賃貸物件の最上階は天井と屋上の距離が近く、ほかの階よりも浸水による被害を受けやすいため、早急に対策を講じましょう。

タイミング2.防水層の劣化

賃貸物件の屋上を確認し、防水層の破損あるいは剥がれた部分が見つかったら、防水工事が必要なタイミングと判断できます。
防水層は塗装や防水シートなど、屋上の表面に施された防水加工の部分を指します。
ひび割れや膨れ、浮いた部分が目視で確認できる賃貸物件は屋上の防水層がすでに劣化しており、防水機能も低下している状態です。
速やかに業者へ依頼し、屋上防水工事を実施しましょう。
破損だけでなく変色も同様に、屋上防水工事が必要なタイミングと判断できます。

タイミング3.雑草が生える

賃貸物件の屋上に生えた雑草を確認したら、防水工事が必要なタイミングと判断して良いでしょう。
そもそも屋上に雑草が生えた時点で防水機能は低下しており、以前の防水性は保たれていないと考えられます。
また、雑草が屋上に生えると、根元の部分が防水層の内側を傷付けるおそれがあり、早急に対策しないと状況が悪化してお部屋内部に漏水する危険性も高まります。
雑草を確認したら、迅速に屋上防水工事の準備を進めましょう。
なお、屋上の隅は雑草が生えやすいためこまめに確認し、雑草があったらきれいに撤去して屋上防水工事を実施してみてください。
また、タイルが敷かれた屋上も目地から雑草が生える可能性が高く、雨漏りなどのトラブルを回避するためにも定期的な確認が重要です。

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賃貸物件における屋上防水工事の費用相場

賃貸物件における屋上防水工事の費用相場

賃貸物件の屋上防水工事を実施するにあたり、費用の目安として相場を確認しましょう。
費用相場は、屋上防水工事の種類によって異なります。

ウレタン防水工事の費用相場

ウレタン防水工事とは賃貸物件の屋上にウレタン塗料を塗布し、ゴム状の防水膜で覆って防水性を高める工法です。
工期は2日~7日が目安で、費用相場は1㎡あたり約7,500円と比較的リーズナブルな設定です。
使用する塗料が液体状のため、屋上の形状を問わず施工可能な点と価格の安さから、多くの賃貸物件の屋上に用いられています。
ただし、ほかの防水工事と比較すると、ウレタン防水工事は耐久性が低く、耐用年数も約10年と短いため、屋上防水工事が必要になるタイミングは多くなるでしょう。
トータルコストで見れば費用負担が大きくなるおそれがあります。

シート防水工事の費用相場

シート防水工事とは、賃貸物件の屋上に塩ビあるいはゴムなどの素材でつくられた防水シートを敷き、防水層を新規形成する工法です。
工期は約5日で短いケースでは1日、費用相場も1㎡あたり約7,000円とほかの防水工事に比べてリーズナブルです。
シート防水工事には基本的に塩ビシートが用いられており、人の往来がある屋上への防水工事として選ばれやすい特徴があります。
ただし、防水シートの継ぎ目を適切に処置しないと防水性が低下することから、施工には高い技術を要します。
耐用年数は短くても10年、長いと15年ほどのため屋上防水工事の頻度が少なく、コストを抑えやすいとも言えるでしょう。

アスファルト防水工事の費用相場

アスファルト防水工事とは、アスファルトシートと液体状に溶かしたアスファルトを組み合わせ、屋上に防水層をつくる工法です。
工期は1週間前後と長く、費用相場も1㎡あたり約8,000円とウレタン防水工事やシート防水工事よりも高額傾向にあります。
ただし古くから屋上防水工事に用いられてきた工法で、信頼性も高めです。
耐用年数も15年~25年と長期間にわたり効果が持続し、メンテナンスが必要になる機会を抑えられるでしょう。
1回あたりのコストが高額になったとしても、修繕する頻度を可能な限り少なくしたい方に向いている工法と言えます。

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まとめ

賃貸物件では、屋上から室内への雨漏り防止を理由に防水工事がおこなわれます。
防水層の劣化や雑草を確認したら、速やかに屋上防水工事の準備を進めましょう。
費用相場は工法によって異なりますが、1回あたりのコストを抑えたいならウレタン防水工事、修繕の頻度を少なくするならアスファルト防水工事がおすすめです。