賃貸物件で必要になるクリーニング費用とは?負担する方・費用の相場も解説
一般的に借主が賃貸物件から退去すると、室内のクリーニングがおこなわれます。
しかし、賃貸物件におけるクリーニング費用とは具体的に何なのか、借主負担にすることは可能かなど、多くの疑問を持つ方もいるでしょう。
そこで今回は、賃貸物件におけるクリーニング費用の概要と負担する方、費用相場を解説します。
賃貸物件におけるクリーニング費用とは
クリーニング費用とは、会社が実施する各種清掃サービスを利用するために支払う費用です。
賃貸物件によっては、原状回復費や清掃費用などと表記されることがありますが、クリーニング費用と意味は変わりません。
クリーニングでは、次に入居する方が気分良く住み始められるよう、隅々まで室内清掃がおこなわれます。
クリーニングを実施するタイミング
賃貸物件においてクリーニングが実施されるタイミングは、一般的に退去後から新規の借主を募集するまでの期間が対象です。
賃貸物件のクリーニングにかかる日数はおよそ2日以内、短いケースであれば1日ですべての清掃が完了します。
主な内容としては、ペストコントロールやフローリングの掃除およびワックスがけなどが挙げられます。
ペストコントロールとは、人体に有害な生物の活動を制限し、日常生活に害をおよぼさない程度に抑制する作業です。
また、台所やトイレなど汚れが気になりやすい水回りをはじめ、玄関の内外やガラスサッシ、網戸、ベランダもクリーニングの対象です。
さらに、掃除が難しいエアコン内部の洗浄、カーテンレールなど、細かな部分の清掃もクリーニングを実施します。
借主が室内で喫煙した結果、壁紙がタバコのヤニでひどく汚れたケースでは、壁紙の張り替え作業がおこなわれることもあります。
賃貸物件のクリーニングをおこなう業者とは
賃貸物件のクリーニングを実施する業者としては、清掃を専門におこなう業者や引っ越し業者などが挙げられます。
清掃専門業者はクリーニングのプロであり、専門知識もスキルも豊富で、エアコンや換気扇など汚れがたまりやすい部分の清掃に強い特徴を持ちます。
引っ越し業者は専門業者と異なり、引っ越し作業とクリーニング業務をセットで提供している点が特徴です。
オプションとして、各種メニューを組み合わせられる引っ越し業者もあるため、好きなメニューを選んでクリーニングを実施したい方は業者選びも重要になるでしょう。
このほかにも、家事代行サービスを提供する事業者や便利屋も、賃貸物件のクリーニングが依頼可能です。
▼この記事も読まれています
賃貸物件の水道のメーターには種類がある?違いと仕組み・交換義務も解説!
賃貸物件におけるクリーニング費用は誰が負担するのか
賃貸物件のクリーニングは借主が退去したあとに実施されますが、クリーニング費用は誰の負担になるのかわからないも多いでしょう。
以下では、クリーニング費用を負担する方について解説します。
賃貸物件のクリーニング費用は貸主負担になる
賃貸物件におけるクリーニング費用は、原則として貸主が負担しなければなりません。
国土交通省による「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、借主が退去前に通常の清掃を実施したとき、貸主から借主へクリーニング費用を請求できないとされています。
通常の範囲内における清掃を済ませてから借主が退去したケースでは、賃貸物件の貸主がクリーニング費用を負担することになるのです。
ただし、室内に借主の故意あるいは過失により生じた汚損があるときなど、賃貸物件のクリーニング費用負担が貸主ではなく、借主に生じる事例があることも覚えておく必要があります。
借主がクリーニング費用を負担するケース➀通常の清掃が未実施
借主が通常の清掃を実施しないまま賃貸物件を退去したときは、貸主から借主へクリーニング費用を請求できます。
たとえば、生活ごみを撤去しない、拭き掃除や掃き掃除を済ませておらず、汚れがたまっているなどの状況が見受けられるケースは、借主負担の対象です。
また、水回りのカビやレンジ周り、換気扇に付着した油汚れの除去も、原状回復に関するガイドラインに定められた通常の清掃の範囲に含まれます。
クリーニング費用を借主が負担するときは、入居時に借主から預かった敷金から支払うのが一般的です。
借主の退去により空室が発生したら、原状回復に関するガイドラインを確認し、清掃が実施されているか確認することをおすすめします。
借主がクリーニング費用を負担するケース②特約の成立
借主と貸主との間で特約が成立済みのケースも、賃貸物件のクリーニング費用は借主負担となります。
特約とは、原状回復に関するガイドラインと異なる賃貸借契約の内容です。
ガイドラインに法的拘束力はなく、借主がサインした賃貸借契約に記載された内容が賃貸借契約として優先されます。
つまり、特約として「クリーニング費用は借主が負担する」との旨を賃貸借契約書に記載し、借主からのサインを得ていれば貸主が支払う必要はありません。
なお、借主の利用状況に応じてクリーニングの必要性が変わることから、賃貸物件の貸主は基本的に特約を設けて、賃貸借契約を結ぶのが一般的です。
▼この記事も読まれています
賃貸物件でおすすめの空室対策とは?都市ガスへの変更手続きをご紹介!
賃貸物件で実施するクリーニング費用の相場
賃貸物件におけるクリーニング費用の相場は、間取りや掃除が必要な場所に応じて異なります。
クリーニング費用を事前に調べて把握したいときのために、今のうちに確認しておきましょう。
間取り別にみる賃貸物件のクリーニング費用相場
クリーニング費用の相場は、賃貸物件の間取りが広くなるほど作業が増え、人員も多くなるため、高くなる傾向にあります。
具体的な相場は、1Rや1Kなど一人暮らしに適したコンパクトな間取りは2万円~5万円、カップルやご夫婦での生活におすすめの1LDK~2LDKでは3万円~7万円です。
お子さま連れなど、ファミリー世帯にちょうど良いサイズ感の3LDK~4LDKは安くても5万円、高額なケースでは8万円ほどの費用がかかる可能性があるでしょう。
なお、賃貸物件の汚損状況によって、クリーニングの内容や必要な清掃人数が変化することから、費用相場には間取りごとに3万円~4万円の幅を設けています。
場所別にみる賃貸物件のクリーニング費用相場
クリーニング業者のなかには、お部屋単位ではなく、希望する場所ごとに清掃作業を依頼できるところもあります。
場所別のクリーニングにおいて、高額な費用が発生する可能性があるのは浴室とエアコンで、浴室は1万8,000円~3万円、エアコン掃除は1万2,000円~3万円です。
台所に関して、下限額は浴室と同じく1万8,000円ですが、高額になると2万6,000円のクリーニング費用を請求されます。
レンジフードおよび換気扇は1万6,000円~2万2,000円、トイレは1万円~1万4,000円とほかの場所とは違い、相場の幅が狭いのが特徴です。
また、床に敷いていたフローリングあるいはカーペットのクリーニング費用は、6畳サイズで9,000円が相場です。
場所別のクリーニングを単体で依頼すると高額になりやすいため、複数の場所をセットで依頼すると良いでしょう。
クリーニング費用の多くを占めるのは人件費であり、清掃作業にかかる人数と時間に応じて金額が異なるためです。
依頼先のクリーニング業者によっても、費用相場に大きな差が生じるケースもあることから、費用などをよく比較検討したうえで依頼する業者を選びましょう。
▼この記事も読まれています
賃貸物件で必要な洗濯機の排水トラップとは?取り付け方法を解説
まとめ
賃貸物件におけるクリーニング費用とは、退去後に清掃業者などがおこなう室内の清掃にかかる費用です。
費用は原則として貸主負担ですが、賃貸借契約書に特約を付けておけば借主負担にできます。
クリーニング費用の相場は間取りや場所ごとに異なるため、経営中の賃貸物件に照らし合わせて確認してみてください。