賃貸物件の水道のメーターには種類がある?違いと仕組み・交換義務も解説!

賃貸物件の水道のメーターには種類がある?違いと仕組み・交換義務も解説!

賃貸物件の管理や経営にあたって押さえたいことのひとつに、水道のメーターが挙げられます。
建物に設置するメーターには種類があるため、特徴や違いなどは一度確認しておいたほうが安心です。
そこで今回は、賃貸物件における水道のメーターの種類、公設と私設の違い、私設の仕組みと交換義務を解説します。

賃貸物件における水道のメーターの種類

賃貸物件における水道のメーターの種類

賃貸物件における水道のメーターには、直読式と円読式の2種類があります。
それぞれの詳細や押さえたいポイントは、以下のとおりです。

メーターの種類

直読式とは、水道において一般的なメーターです。
表示されている数値を左から読んだものが、使用量にあたります。
もう一方の円読式とは、複数の円形のメーターによって使用量を示すものです。
どちらも水道の使用量を示している点は同じですが、表示形式に違いがあります。
それぞれの種類や表示形式を押さえていないと、使用量を正しく読み取れないため注意が必要です。

設備の有効期限

設置されたメーターの有効期限は、直読式・円読式のどちらでも8年です。
具体的にいつまで使えるかは、メーターの蓋の裏に表示されているものです。
水道のメーターは、敷地内にあるメーターボックスやパイプスペースのなかに設置されています。
設置位置には目印として量水器との表示があるため、賃貸物件の管理や経営にあたって一度確認しておくことをおすすめします。

水道のメーターを確認したい理由

水道のメーターで種類や見方、設置場所などを一度確認したいのは、賃貸物件では漏水トラブルが起こりえるからです。
どこかから漏水していると、水道の使用量が増え続けるため、メーターの表示からトラブルの発生を把握できます。
しかし、メーターの種類や見方、設置場所などを押さえていないと、トラブルの把握や対処が遅れかねないため注意が必要です。

賃貸物件にある水道のメーター!公設と私設の違い

賃貸物件にある水道のメーター!公設と私設の違い

賃貸物件にある水道のメーターは、設置者によって公設と私設の2種類に分けられます。
両者にはいくつか違いがあるため、詳細は事前に確認しておくことが大事です。

公設のメーター

公設のメーターとは、水道局が設置したものです。
設置や交換にかかる費用は水道局が負担する仕組みで、賃貸物件のオーナーのほうに出費は発生しません。
設置や交換にあたって費用面の負担が省けるのは、オーナーにとっての主なメリットです。
さらに、公設のメーターでは、水道の検針や料金の徴収を水道局がおこないます。
各住戸に公設のメーターがあれば、住戸単位での検針や請求をオーナーのほうでおこなう必要がなく、経営や管理の負担が軽減されます。
一方のデメリットは、各住戸でメーターの公設を希望すると、建物に条件を課せられることです。
自身の賃貸物件が規定の条件を満たしていないと、各住戸への公設は叶いません。
あくまで各住戸にメーターを設置してもらいたいなら、建物の改築が必要になるおそれがあります。
実際に建物を改築すると、工事で費用や手間がかかる点に注意が必要です。
このほか、各住戸へのメーターの公設にあたっては、住戸分の水道加入金が求められます。
賃貸物件において、水道加入金はオーナーが負担するものであり、それだけ出費が増えてしまいます。

私設のメーター

私設のメーターとは、オーナーの負担で設置したものです。
設置場所は各住戸であり、建物全体には公設のメーターが1つ設置されます。
賃貸物件に2種類のメーターが存在する形になるため、建物全体のものを親メーター、各住戸のものを子メーターと呼んで区別することがあります。
私設にかかる費用は、メーターの種類や口径によって違いがあるものの、1つあたり約1万円~2万円が目安です。
このような費用が住戸の数だけかかるのは、公設との主な違いのひとつです。
水道代の請求はオーナーに対しておこなわれ、金額は賃貸物件全体の使用量をもとに計算されます。
各住戸での検針や請求は、オーナーやその委託会社などがおこないます。
私設のメリットは、公設と違い、設置にあたって建物に条件を課せられないことです。
建物の改築などを求められるおそれがなく、オーナーとしては安心です。
また、各住戸に設置するメーターが私設なら、住戸分の水道加入金は発生しません。
一方のデメリットは、各住戸の水道代に関しては、使用量の検針や請求書の発行などをオーナーのほうでおこなう必要があることです。
水道局から一括で請求された金額を、各住戸の使用量にあわせて振り分ける作業には手間がかかります。

賃貸物件にある水道のメーター!私設の仕組み・交換義務

賃貸物件にある水道のメーター!私設の仕組み・交換義務

賃貸物件にある水道のメーターが公設なら、設置や交換は水道局がおこなってくれるため、オーナーのほうで設備を管理する必要はありません。
一方、私設だと設備の管理をオーナーのほうでおこなうため、仕組みや交換義務などはよく確認しておく必要があります。

交換が必要なタイミング

オーナーが個人で設置したものでも、水道のメーターには8年での交換義務が一律に課せられています。
交換が必要なタイミングで設備が壊れているとは限りませんが、使用期限が来たら状態に関わらず、新しいものへと換えなくてはなりません。
8年間隔での交換は、法令によって定まっている義務であるからです。
規定に違反した際には、6か月以下の懲役と50万円以下の罰金のどちらか、もしくは両方を科せられるおそれがあります。
罰則付きの規定である点は、しっかり確認しておきたいポイントです。
なお、交換はオーナーの負担でおこないますが、新設時よりは費用が抑えられる傾向にあります。

水道代の負担者

各住戸にある水道のメーターが私設でも、建物全体には公設のものが1つあるため、水道局からの請求はおこなわれます。
しかし、請求先はあくまでオーナーであり、各住戸の入居者ではありません。
建物全体の水道代はオーナーのほうで支払い、入居者にはオーナーから個別に請求しなくてはなりません。
入居者への請求を忘れたり、金額が少なかったりすると、各住戸の水道代をオーナーが負担する形になってしまうため注意が必要です。
なお、各住戸の水道代は、家賃とあわせて振込や口座振替などで受け取ります。
入居者から支払いがあったら、金額に誤りがないかを住戸単位で個別に確認しましょう。

各住戸での検針

先述のとおり、メーターが公設なら水道局のほうで検針してもらえますが、私設のほうには対応してもらえません。
オーナーが自身で検針する手間を省きたいなら、賃貸物件の管理会社まで作業を委託しましょう。
なお、検針にかかる手間を省く方法として、各住戸の水道代を定額や均等割で請求する方法が考えられます。
しかし、実際の使用量に関わらず料金を請求すると、いくらかの不公平が生じるものです。
実際の使用量に対して請求額が過剰になっていると、入居者が退去してしまうおそれがあります。
また、定額や均等割での請求で、実際にかかっている水道代をうまくカバーできるとは限りません。
各住戸より徴収した合計額が水道局からの請求額に届いていないと、不足分をオーナーが負担する形となってしまいます。
入居者にとっての不公平やオーナーの損失を避けるためにも、住戸単位でしっかり検針することをおすすめします。

まとめ

賃貸物件において、水道のメーターには直読式と円読式の2種類があり、両者には使用量の表示方法に違いがあります。
また、設置者によって公設と私設の2種類に分けられ、それぞれで検針の担当者や料金請求の仕組みが異なります。
私設のメーターでも8年ごとの交換義務が法令で定まっており、違反には6か月以下の懲役や50万円以下の罰金が科せられるため、注意が必要です。