賃貸物件で必要な洗濯機の排水トラップとは?取り付け方法を解説

賃貸物件で必要な洗濯機の排水トラップとは?取り付け方法を解説

賃貸物件において、目立たないものの欠かせない設備のひとつが、洗濯機の排水トラップです。
排水トラップがないと、害虫や悪臭が発生する原因となり、入居者の不満を引き起こしかねません。
そこで今回は、賃貸物件で不可欠な洗濯機の排水トラップとはなにか、ないと起こるトラブルや取り付け方法について解説します。

賃貸物件で不可欠な洗濯機の排水トラップとは?

賃貸物件で不可欠な洗濯機の排水トラップとは?

初めて賃貸物件の室内設備を検討する方のなかには、そもそも排水トラップが何かよくわからない方もいるかもしれません。
ここでは、排水トラップの役割と種類、排水トラップを付けない物件もある理由に分けて解説します。

排水トラップの役割

排水トラップとは、洗濯機の排水口にあるL字の筒型パイプのことです。
洗濯パンや床の端に設置されていて、洗濯機の排水ホースと排水管をつなぐ役割をしています。
排水トラップは、下水からのにおいを遮断するために重要です。
排水管は下水道とつながっているため、遮断するものがないと、上がってきたにおいが直接室内へ侵入してしまいます。
排水トラップは、パイプの内部で「封水」と呼ばれる水をためる仕組みになっています。
排水経路に封水があると空気の流れが遮断され、下水のにおいが上がってこなくなる仕組みです。

排水トラップの種類

排水トラップの種類には主に、サイホン型トラップと非サイホン型トラップに分かれます。
サイホン型トラップのなかにはさらに、Sトラップ、Pトラップ、Uトラップの3種類があります。
それぞれアルファベットの形状を示す名称で、アパートやマンションで多く見られるのはコンパクトなSトラップです。
非サイホン型トラップには、椀トラップやドラムトラップの種類があります。
椀トラップは、キッチンやシンクでよく使われているタイプです。
ドラムトップは、小さなタンクのような造りになっており、より多くの封水を蓄えられる特徴があります。

排水トラップを付けない物件もある理由

室内の悪臭を防ぐために重要な排水トラップですが、賃貸物件のなかには設置していない物件も見られます。
排水トラップがない物件では、洗濯機の排水ホースを排水口に直接差し込む形で使用します。
排水トラップを付けない理由のひとつは、トラップを付けると水量が落ちるためです。
また、排水トラップの取り付けが甘いなどの原因で、水漏れが起こることをおそれて取り付けない大家さんもいます。
しかし、悪臭が起こるデメリットについて考えると、適切な管理をしたうえで排水トラップは取り付けたほうが良いといえるでしょう。

賃貸物件で洗濯機の排水トラップがないと起こるトラブル

賃貸物件で洗濯機の排水トラップがないと起こるトラブル

賃貸物件でトラブルが起こり、入居者の不満が高まることを避けるためは、排水トラップの取り付けをおすすめします。
ここでは、排水トラップがないために起こる2つのトラブルと、メンテナンスも重要である点について解説します。

排水トラップがないと起こるトラブル①悪臭

排水トラップがないと、下水の臭気が直接上がってくるため、洗濯機周りに不快なにおいが発生します。
ひどい場合には、室内全体ににおいが充満してしまうケースもあるでしょう。
洗濯機の排水口がにおいの発生源となっているため、洗濯機に入れた衣服ににおいが付く可能性もあります。
せっかく洗濯しても、かえって服ににおいが付き、清潔感を保てなくなります。
仕事や外出先でも服のにおいが感じられ、会った方からの印象が悪くなるおそれもあるでしょう。

排水トラップがないと起こるトラブル②害虫がわく

排水は害虫の住みかとして最適な環境です。
排水トラップがあれば、封水により害虫が下水管を通って登ってくることを避けられます。
しかし、排水トラップがない賃貸物件では、下水管からの侵入を食い止められず、室内に害虫が発生する可能性があります。
ハエ・ゴキブリなど不潔な環境を好む害虫は、衛生状・健康状の多くのリスクを引き起こすため、注意が必要です。

下水管のトラブルにはメンテナンスも重要

賃貸物件における悪臭や害虫などのトラブルを防ぐためには、排水トラップの取り付けにくわえて、定期的なメンテナンスも重要です。
排水管のなかにゴミや汚れがたまると、悪臭の原因となります。
日常的な排水管洗浄の実施を入居者にお願いするのはひとつの手です。
また、退去のタイミングで業者に高圧洗浄を依頼することもできます。
排水トラップの水が蒸発することも、悪臭の原因です。
空室の水を定期的に流し、排水トラップの水がなくならないようにすると、新しい入居希望者の内見時に悪臭が発生することを防げます。
排水管の法定耐用年数は15年程度が目安のため、老朽化してきたら、排水管の交換をおこなうことも大切です。
専門業者による浄化槽の保守点検と定期検査を欠かさないようにすることも、衛生的な排水設備環境を保つために重要です。

賃貸物件における洗濯機の排水トラップの取り付け方

賃貸物件における洗濯機の排水トラップの取り付け方

排水トラップは、DIYで取り付けられます。
ここでは、排水溝トラップの選び方、取り付けで準備する道具、取り付けの手順に分けて解説します。

洗濯機の排水溝トラップの選び方

洗濯機の排水溝トラップは、排水管のサイズに合ったものを選ぶ必要があります。
排水管のサイズ名は、50用、65用、75用のように分類されています。
トラップは内側に取り付けるため、内径を測ったうえで適切なサイズのものを選びましょう。
なお、同じサイズ名でもVP管とVU管の内径は異なりますが、排水トラップは本体外周にソケットが付いており、どちらでも合わせられる仕様になっています。

洗濯機の排水溝トラップの取り付けで準備する道具

洗濯機の排水溝トラップの取り付けで準備する道具は、以下のとおりです。

●インパクトドライバー
●コーキングガン
●シリコンシーラント
●塩ビパイプ用接着剤
●ティッシュペーパー


インパクトドライバーは床へのネジ止めに、コーキングガンとシリコンシーラントはシリコンを塗るのに使用します。
接着剤は、排水トラップの部品と排水口のパイプの接着用に使います。
ティッシュペーパーは、不要なシリコンの拭き取りに必要です。

洗濯機の排水溝トラップの取り付け方法

洗濯機の排水溝トラップの取り付け方法は、以下のとおりです。

●排水トラップの枠と排水管の内側に塩ビ用接着剤を塗る
●排水トラップのツバ裏にシリコンコーキング剤を塗る
●排水トラップを排水管に押し込む
●付属のネジで固定し、付属パーツも設置する
●洗濯機の排水ホースを接続する


排水トラップの取り付けの難易度は、それほど高くありません。
ただし、設置方法に問題があると、悪臭の発生や水漏れのトラブルなどの原因になります。
自分での設置が難しく感じる場合は無理せず、業者に依頼するのがおすすめです。
排水トラップの設置費用は、5,000~2万円程度が相場です。
排水トラップは共有部分のため、大家さんが設置や修理の費用を負担する必要があります。
設置工事は30分ほどで終わる手軽なもののため、新築やリフォームなどのタイミングで設置しておくことをおすすめします。

まとめ

洗濯機の排水トラップとは、L字型のパイプで排水ホースと排水管をつなぐもので、内部で水をためて臭気が上がってこない仕組みになっています。
賃貸物件で排水トラップがないと、室内に悪臭が広がったり、害虫が侵入してきたりなどのトラブルの原因になります。
排水トラップの取り付けは、トラップを排水管に押し込んでコーキングするだけで簡単ですが、DIYが難しい場合は業者への依頼がおすすめです。