多拠点生活とは?賃貸物件の管理方法と需要を取り込むときの注意点を解説

多拠点生活とは?賃貸物件の管理方法と需要を取り込むときの注意点を解説

近年、テレワークの普及やライフスタイルの多様化により、単身者やファミリー層の間で多拠点生活への関心が高まっています。
こうしたニーズの変化に対応することで、空室対策や収益向上に繋げられるかもしれません。
しかし、多拠点生活者をターゲットにした賃貸経営をおこなうには、物件の選定や管理方法など、従来とは異なる視点が求められます。
今回は、賃貸経営者に向けて、多拠点居住の需要や賃貸物件の管理方法、注意点について解説します。

賃貸経営に新しい風を吹かせたい!多拠点生活とは

賃貸経営に新しい風を吹かせたい!多拠点生活とは

コロナ禍でリモートワークが一般的になり、住む場所の自由度が高まったことで、多拠点生活を送る方が増えています。
定着しつつある新しい生活スタイルを賃貸経営にもうまく取り込み、入居者ニーズに応えながら、持続可能で魅力ある物件づくりを目指しましょう。
はじめに、多拠点生活とはなにか、多拠点生活が近年注目されている理由も含めて解説します。

多拠点生活とは?

多拠点生活とは、主な住まいとは別に、週末や一定期間を異なる場所で生活するライフスタイルです。
たとえば、平日は都内の家から通勤し、休日は自然が豊富な郊外の家でリフレッシュするなどです。
このように、複数の生活拠点を往復する生活を「多拠点生活」といいます。

多拠点生活が近年注目されている理由

多拠点生活が増えた背景には、コロナ禍による働き方の変化や価値観の多様化、地方への関心の高まりなどがあります。
コロナ禍をきっかけにリモートワークが一般化し、「住む場所=職場の近く」という考え方が大きく変わりました。
オフィスに通う頻度が減ることで、都心に縛られず、地方やリゾートなど好きな場所で働く方が増えています。
また、これまでの「家を購入して住み続ける」という価値観が変化し、「暮らし方を柔軟に変えたい」と考える方が増えていることも、多拠点生活が注目されている理由の一つです。

多拠点生活の種類

他拠点生活と一口にいっても、住む目的や働き方によって選ぶ拠点や滞在の頻度が異なります。
多拠点居住の類型は、主に「都市×都市」「都市×地方」の組み合わせの合計4種類です。
拠点を3か所以上作るケースもあり、本拠地とサブ拠点の組み合わせ次第で6種類にもなります。
都市と地方を拠点にする場合、広範囲を移動するケースもあれば、ひとつの圏域で完結するケースもあり、その組み合わせはさまざまです。
さらに、拠点を国内に限定せず、海外との多拠点生活を取り入れるやり方も存在し、その方の働き方や余暇の過ごし方により数えきれない種類が生まれます。
多拠点対応の物件を探す際のプラットフォームも誕生しているため、今後はそれぞれの類型に適合するプラットフォームがどんどん登場し、成長していくと予想されます。

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多拠点生活対応の賃貸物件は今後も需要は増える?

多拠点生活対応の賃貸物件は今後も需要は増える?

空室対策として、多拠点居住ニーズを取り込もうと考えた時に、「今後も需要は増えるのだろうか」と不安になる方も多いでしょう。
ここからは、多拠点生活向け賃貸物件の需要が今後どうなるのか、賃貸物件の運用や管理方法もあわせて解説します。

多拠点生活に対応した賃貸物件への需要は増える?

新型コロナの流行は落ち着いたものの、出社を前提としない働き方を求める声も多く、企業としては看過できない状況です。
また、フリーランスなどの会社と距離を置く働き方や副業の浸透により、働く場所を都市部のオフィスに限定しない動きも増えています。
これらの理由から多拠点生活を実施する方が増えており、それに伴い賃貸物件の需要も高まっています。
とくに、家具・家電付き、短期契約が可能な物件や、サブスクリプション型の住居サービスが人気を集めているようです。
さらに、地方移住やに拠点生活の流れにより、都心と地方をつなぐ拠点としての賃貸ニーズも高まっています。
今後も多拠点生活に適した賃貸物件の供給は進み、より自由な暮らし方を求める方々の選択肢は広がっていくと考えられるでしょう。

多拠点生活に対応した賃貸物件の管理方法

多拠点生活の賃貸物件を運用する場合、サブリース方式と委託契約方式があります。
サブリース方式とは、物件オーナーとサブリース業者が契約を締結して、入居者とサブリース業者が契約を結ぶ方式です。
一般の賃貸借契約とは異なり、入居者は本拠地として居住することもあれば、サブ拠点として居住するケースもあります。
オーナーは、入居者との賃貸借契約に直接関与する必要がなく、居住スタイルは入居者と管理会社との契約によって異なります。
一方で、委託契約方式は、不動産オーナーが運営会社と契約を結び、物件の管理や運営を委託する仕組みです。
利用者は月額料金を支払い、全国の提携物件を自由に利用できる「サブスクリプション型」の住まいとして活用できます。
オーナーにとっては、管理負担を軽減でき、利用者にとっては定額で多拠点生活を楽しめるメリットがあります。

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多拠点生活向けの賃貸物件を管理するうえでの注意点とは?

多拠点生活向けの賃貸物件を管理するうえでの注意点とは?

多拠点生活向けの賃貸経営では、通常の管理方法では対応できないこともあります。
トラブルを避けるためにも、他拠点生活向けの賃貸経営における注意点を理解しておきましょう。

定期建物賃貸借契約を採用する

多拠点物件を管理するうえで、通常の賃貸物件と大きく異なるのは契約形態です。
他拠点生活向けの賃貸物件においては、基本的に「定期建物賃貸借契約」を採用することになります。
この契約は、契約期間満了で自動終了となるため、短期利用者との相性が良く、計画的な運用が可能です。
形態としてはシェアハウスに近く、同一物件を複数の借主を相手として契約締結がおこなわれます。

入居審査は通常通りおこなう

収入や勤務先といった支払い能力の確認など、入居審査は通常の賃貸借契約と変わりません。
期間が短いからといって審査が甘くなることはなく、むしろ短期利用者が多いからこそ、収入の安定性や滞在目的の確認は必須といえます。
なお、保証人についてはシェアハウスにも対応する保証会社がありますので、不安な場合は保証会社の利用を検討すると良いでしょう。

入居者ローテーションの管理が必要

契約形態や使用形態によっては、数日や1週間程度のサイクルで入居者が変わるケースもあります。
オーナーにとっては、スケジュール管理や清掃・設備点検の手配が重要なポイントとなります。
入居者同士のトラブル防止のためにも、利用ルールの明文化や滞在履歴の管理が欠かせません。
入居者ローテーションの管理は、従来の賃貸管理ではなかった業務といえます。
運営パートナーと連携し、効率的なローテーション体制を構築することが安定運営の鍵となるでしょう。

設備を用意する必要がある

多拠点生活向けの物件では、家具・家電など生活に必要なものは、ひと通り用意しなければなりません。
ホテルのように部屋を利用するケースでは、アメニティやリネンなども必要となります。
また、多拠点生活では短期利用者が多く、設備の使い方にばらつきが出やすいため、耐久性の高い備品選びが重要です。
故障時の対応フローを明確化し、トラブルを最小限に抑える体制づくりを心がけましょう。

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まとめ

多拠点生活とは、主な住まいとは別に、週末や一定期間を異なる場所で生活するライフスタイルです。
多拠点生活のニーズ拡大により、賃貸オーナーにとっては、空室対策や収益向上のチャンスとなっています。
管理方法には、サブリースや委託契約方式があるので、やりやすい方法を選択し、安定運営を目指しましょう。