自主管理による家賃回収方法とは?家賃管理方法とデメリットについても解説
将来への不安を背景に、アパートやマンションといった賃貸物件の経営を始めるサラリーマンが増えています。
賃貸物件のオーナーには、物件の管理や家賃の回収など多様な業務があり、自分で全て対応すると、多大な時間や労力を要するかもしれません。
この記事では、自主管理による家賃の回収方法とデメリットを解説します。
賃貸経営を予定している方は、ぜひ参考にしてください。
自主管理による家賃回収方法
アパートやマンションといった賃貸物件の管理業務を不動産会社などへ委託すると費用がかかり、物件数が少ないうちは自分で対応するオーナーは珍しくありません。
ここでは、自主管理による家賃の回収方法について解説します。
集金
オーナーにとって家賃は大切な収入であり、適切に回収しなければなりません。
業者に管理業務を委託すると費用がかかります。
一方で、自分で集金すると費用を抑えられる点がメリットとしてあげられます。
オーナーが同じ物件内に居住するケースのときには、各戸を回るのに時間を要しないでしょう。
また、集金するときに居住者の暮らしぶりを確認できるとともに、コミュニケーションによって良好な関係を築くと、退室の抑制にも効果を見込めます。
ただし、遅くまで働いて帰宅時間が遅かったり、夜間勤務により昼の訪問を嫌がられたり、留守が多いうえ休日も不在なことが多いなど、さまざまな暮らしの入居者がいるでしょう。
何度も訪問するのは非効率であり、互いの時間が合うまで回収できない点で、集金は難易度が高い家賃回収方法の1つです。
銀行振込
入居者が支払い期限までに、オーナーが指定する銀行口座へ家賃を振り込む方法です。
入居者には、振込手数料が発生するケースがありますが、オーナーは手数料がかからないでしょう。
定期的に入金状況を確認するのがオーナーの業務になり、現金授受の手間を省けます。
ただし、入居者が振り込むのを忘れる可能性があり、未回収になるリスクが高まります。
なお、集金による方法と異なり、入居者の生活状況を把握するのが難しく、相手と連絡がつかなくなるかもしれません。
銀行口座引き落とし
多くの不動産会社が用いている入金方法で、毎月指定日に入居者の銀行口座から家賃が自動的に引き落とされます。
入金日が定まっており、回収状況の確認を容易におこなえますが、オーナーにも手数料が発生するケースが多くを占めています。
また、入居者の口座残高が不足するときには引き落とされないため、家賃は回収できません。
銀行振込と同様に、入居者の生活状況を把握しておかないと、連絡がとれなくなる可能性があります。
クレジット払い
入居者が所有するクレジットカードによって家賃が支払われる方法です。
オーナーに対し、手数料を支払うよう求められるのが一般的であるとともに、入金のタイミングが遅くなる点もデメリットとしてあげられます。
一方で、クレジットカードにポイントが貯まり、入居者からの人気が高まっています。
なお、クレジットカードを所有するには、カード会社による審査を通過する必要がありますが、入居希望者が審査を通過できるとは限りません。
クレジットカードの所有を入居条件に設定するだけで、入居が見送られるケースもあるので注意してください。
自主管理による家賃管理方法
入居者からの家賃の回収に関しては、適切に取り扱う必要があり、二重請求などの間違いは禁物です。
ここでは、自主管理による家賃の管理方法について解説します。
表計算ソフト
賃貸物件を自主管理するときには、市販されている表計算ソフトを活用して家賃管理をおこなう方法があります。
オーナーが日常的に表計算ソフトを利用しているときには、慣れ親しんでおり、手軽に処理できるかもしれません。
物件名のほか、部屋番号、契約者名、家賃、共益費、合計金額、入金日、入金額、滞納状況、備考欄などを設けておきましょう。
合計金額や滞納状況の判定については、関数機能を用いると入力不要にできます。
また、入金の確認は重要であり、入金日の欄に入力すると色が変化するよう設定するなど、未回収の状況を見逃さずに済むよう工夫するとよいでしょう。
なお、物件全体の集計表にデータを自動的に移行するよう作成しておくと、月ごとの集計や会計年度における集計などにも役立ちます。
表計算ソフトを使った経験がない方は、フリーソフトをダウンロードしたうえで試してみましょう。
アプリ
表計算ソフトに比べて、機能が高くて使いやすい、賃貸管理専用のアプリケーションを活用するのも1つの方法です。
自分で整理表を作成する手間と時間を省けるとともに、関数機能などの知識がなくても、必要な項目を入力するだけで家賃の回収状況を整理できます。
また、家賃だけではなく、滞納者への請求をはじめとした対応状況のほか、入居や退去、契約更新などを記録できるアプリケーションもあります。
有料のアプリケーションは、費用がかかる点がデメリットになりますが、入力作業は簡易におこなえる傾向があるため、パソコンに不慣れな方におすすめです。
紙媒体
今日のようにパソコンが普及するまでは、ノートなどに手書きして家賃の回収状況を整理するのが一般的でした。
現在でも手書きで整理しているオーナーはいますが、パソコンに比べると時間を要するとともに、ミスが発生する確率が高くなるでしょう。
自主管理による家賃回収で発生するデメリット
賃貸物件を自分で管理すると、不動産会社などへ業務を委託するときと異なり、費用がかかりませんが、家賃回収を自力でおこなうことによる苦労があります。
ここでは、自主管理による家賃回収で発生するデメリットについて解説します。
時間と手間
自分で家賃を回収する方法として、訪問での集金のほか、銀行振込、銀行口座引き落とし、クレジットカード払いをご紹介しました。
訪問での集金は、入居者が在室している時間を見計らって訪問する必要があり、不在だったときには何度も訪問しなければなりません。
賃貸物件から居住地まで距離があると、訪問にあたって時間的な負担が大きくなってしまいます。
一方、銀行振込や銀行口座引き落とし、クレジットカード払いで取り扱うときには、支払いが滞ったときの対応に苦労するでしょう。
滞納
アパートやマンションなどの賃貸物件において、滞納は付きものといっても過言ではありません。
振り込み忘れが原因のときには、連絡によって支払われるケースが多くなりますが、督促しても支払われるとは限らず、未払いが続く可能性があります。
なお、入居者と電話での連絡がつかなくなったときに、オーナーが入居者の居場所を特定するのは難しいでしょう。
入居審査において、家賃の支払い能力や人柄について厳しく判断するとともに、連帯保証人に関しても入居者の代わりに支払える力があるか見極める必要があります。
物件数
オーナーが二世帯住宅の一戸に居住したうえで、他の一戸を賃貸するなど、物件数が少ないときには、自主管理でもストレスなく対応できるでしょう。
しかし、部屋数の多いアパートやマンションなどの場合には、手間や労力がかかるので自主管理は難しいかもしれません。
まとめ
賃貸物件の管理業務には、家賃回収だけではなく、物件の維持や設備の修繕、入居者間のトラブルなどへの対応も発生します。
それらを自主管理で対応するという方法もありますが、肉体的な面と精神的な面でデメリットがあることを忘れてはいけません。
管理業務を委託すると費用がかかりますが、自主管理におけるデメリットを踏まえ、管理方法は十分に検討しましょう。