適正賃料の算出方法は?自分で計算する手順についても解説

適正賃料の算出方法は?自分で計算する手順についても解説

賃貸経営をご検討されるなかで、「所有物件の家賃をいくらに設定すれば良いかわからない」「適正な賃料の算出方法が知りたい」とお悩みではありませんか。
家賃設定は経営の根幹であり、相場より高すぎれば空室が続き、安すぎれば本来得られるはずの収益を損なってしまうため、慎重な判断が求められます。
本記事では、不動産鑑定評価の3つの手法を活用した算出方法と、失敗しないためのポイントについて解説します。
根拠のある家賃設定で空室リスクを抑え、安定した賃貸経営を実現したいとお考えの方は、ぜひご参考になさってください。

適正賃料を導く不動産鑑定評価の3つの手法

適正賃料を導く不動産鑑定評価の3つの手法

適正な賃料設定をおこなうためには、その根拠となる専門的な評価手法の理解が不可欠です。
まずは、不動産鑑定評価に基づく、代表的な3つの算出方法について解説していきます。

積算法の仕組みと計算

積算法は、物件の取得費用や日常的な維持コストを基に、経営に必要な賃料水準を算出する考え方です。
まずは、評価時点における土地と建物の価値を客観的に見積もり、算定の土台となる基礎価格を定めましょう。
次に、近隣の利回りや市場動向を参考にしながら、投下資本に対して期待する利回りを設定していきます。
あわせて、税金や維持管理費、将来の修繕費などの必要諸経費を整理し、漏れなく反映させることが重要です。
基礎価格に期待利回りを掛け、必要諸経費を加算することで、根拠の明確な積算賃料を導き出すことができます。

事例比較法の選定基準

賃貸事例比較法は、市場で実際に取引された賃料事例を基にするため、実勢価格に近い比準賃料を算出できる点が特長です。
まずは同一の需給圏内から、駅までの距離や周辺利便性が、できるだけ似ている事例を選ぶことが基本となります。
次に、構造や用途、築年数、専有面積が近く、できるだけ契約時期の新しい事例を優先して比較すると精度が高まります。
事例を集めた後は、事情補正や時点修正をおこない、特殊な取引条件や相場変動を現在の水準へ整えましょう。
さらに、階数や設備などの個別要因を係数で補正することで、より説得力のある賃料設定につながります。

収益分析法の計算手順

収益分析法は、その物件が生み出す事業収益を基に賃料を算出するため、店舗などの商業系物件において収益力の視点を取り入れやすい方法です。
手順としては、まず店舗の売上や利用料などの見込みを、標準的な運営を想定して客観的なデータに基づき積み上げ、総収益を予測します。
次に、人件費や材料費などを差し引き、不動産自体が生み出した利益である「不動産帰属純収益」を把握しましょう。
この純収益を期待利回りで割り戻して現在価値へと換算し、そこに管理費用なども加味することで賃料水準を決定します。
評価にあたっては、経営者の手腕などに左右されないよう、あくまで一般的な運営を前提として数値を整えることが重要です。

▼この記事も読まれています
賃貸経営で取り入れたい人気設備は?ファミリーに支持されやすい設備も解説

ご自身で適正賃料を算出する方法

ご自身で適正賃料を算出する方法

前章では、不動産鑑定評価の理論を述べましたが、実務の現場では、より即戦力となる知識が必要になる場面も多いでしょう。
ここでは、相場や物件特性から、ご自身で適正額を導く手順について解説します。

相場サイトでの基準値

相場サイトを活用すると周辺の募集賃料を把握しやすく、初動の相場感をつかむ材料を効率良く集められます。
検索時は最寄り駅や築年数、構造をそろえ、同条件の物件を5件以上抽出するのが基本です。
集めた事例は同じ間取りを優先し、階数や向きの違いは後から補正して考えると判断しやすくなります。
さらに、賃料を並べて中央値を基準値とすれば、数値に大きく左右されにくい相場設定が可能です。
この基準値を維持コストなどの必要経費と照らし合わせ、条件と取得日を記録して管理すると見直しにも役立ちます。

階数や眺望の補正方法

階数や眺望の違いは、同一建物内でも賃料差が出る個別要因のため、係数という比率で補正すると整理しやすくなります。
基準階を1.00とし、上階や南向きはプラス評価、1階や人のとおりによる影響がある条件は別枠で調整しましょう。
係数に迷う場合は、階数以外が近い事例を探し、実際の賃料差から目安を設定すると納得感が高まります。
さらに、基準値に係数を掛けることで、階層や眺望による付加価値を数値として簡潔に反映することができます。
なお、駅距離などの地域要因とは切り分け、設備更新分も個別に補正して重複評価を避けることが大切です。

間取りによる単価調整

間取りや専有面積は同一エリアでも賃料差を生みやすいため、1坪あたりの賃料を示す坪単価で比較すると、全体像を把握しやすくなります。
坪単価は賃料を専有面積の坪数で割って算出し、1坪を約3.3㎡として考えると、物件同士の比較が簡単になります。
なお、収納の充実や動線の良さといった間取りは評価されやすく、坪単価に係数を掛けて調整する方法が有効です。
専有面積や間取りにくわえ、階数や向き、設備の有無をチェックリストで整理すると比較漏れを防げます。
さらに、基準値と補正の根拠を記録しておけば、将来の賃料改定時にも同じ基準で説明しやすくなります。

▼この記事も読まれています
賃貸経営で注意したい入居者トラブルとは?具体的な事例や回避方法を解説

家賃設定で失敗しないためのポイント

家賃設定で失敗しないためのポイント

ここまで、ご自身で適正賃料を算出する方法を解説しましたが、賃貸経営を成功させるには、周辺要素の確認も重要です。
最後に、家賃設定において失敗しないための要点について、解説していきます。

一時金を含む総額比較

賃料だけで比較するのではなく、敷金や礼金を含めた初期費用の総額で示すことで、条件の魅力を伝えやすくなります。
敷金は原状回復に備える預り金、礼金は契約時に支払う一時費用として整理すると、入居者にも理解しやすいでしょう。
また、仲介手数料や保証料、火災保険料まで合算し、初期負担を一覧で示すと説明がスムーズになります。
さらに、一時金を月割り換算して2年間の総額として提示すれば、賃料設定の妥当性を具体的に説明できます。
賃料調整にくわえ、礼金ゼロの施策や省エネ設備による光熱費削減の提案を組み合わせると、選ばれやすい物件になる可能性が高くなるでしょう。

長期収支の計算と確認

長期収支は、毎月の家賃収入だけでなく、ローン返済や修繕費の発生時期も含め、10年程度のスパンで計画しておくと安心です。
年ごとの家賃収入と諸経費を整理し、お金の動きを一覧表で見える化することで、資金の流れを把握しやすくなります。
また、税金や維持管理費、保険料、修繕費にくわえ、空室期間による損失も現実的な数値として組み込みましょう。
修繕費は将来に備えた積立として確保し、計画的なメンテナンスによって物件価値を維持することが重要です。
これらを必要水準と照合し、目標利回りに沿って家賃を調整することで、安定した運営につながります。

値上げの難しさと対策

賃貸市場では、入居中の方への家賃値上げには合意形成が欠かせないため、初期設定の段階で適正水準を見極めておくことが重要です。
設定時には、事例比較法で市場相場を確認しつつ、積算法で収支の土台をおさえておくと、判断に一貫性が生まれます。
更新時に改定をおこなう場合は、契約条項と市場根拠を整理し、説明資料を用意することで納得感を高められるでしょう。
さらに、店舗や事務所では収益分析法を用い、事業計画に見合った賃料構成を示すと説明が明確になります。
また、設備更新や省エネ化など賃料以外の価値を提案し、根拠資料を保管して定期的に見直すことが安定した経営につながります。

▼この記事も読まれています
賃貸経営における空室対策は?3つの対策を解説

まとめ

適正な賃料設定には、コスト重視の「積算法」、市場を基準にする「事例比較法」、収益力を見る「収益分析法」という3つの視点を理解することが重要です。
実務では相場サイトの中央値を基準に、階数や眺望などの個別要因や坪単価補正をくわえることで、納得感のある数値を導けます。
一時金を含めた総額比較や10年単位の収支を確認し、将来的な値上げの難しさを踏まえて初期設定をおこなうと、賃貸経営は安定しやすくなるでしょう。

株式会社エムズの写真

株式会社エムズ

札幌市に根ざした長年の経験を活かし、迅速かつ誠実な賃貸管理サービスを提供しています。
アパマンショップ加盟店としての豊富な経験と、累計35,000件を超える仲介実績を基盤に、オーナー様の大切な資産価値を最大化するサポートをご提供します。
入居率96.1%という高い実績は、私たちがオーナー様そして入居者様双方から寄せられる信頼の証です。

■強み
・札幌市で20年以上にわたり賃貸管理に従事
・累計35,000件超の賃貸仲介実績
・家賃回収率99.9%、入居率96.1%、平均入居期間6年1ヶ月という高水準の管理体制

■事業
・賃貸物件の管理・運営
・不動産の売買・賃貸仲介
・貸事務所・貸倉庫の仲介