アパート経営を法人化する目安は?節税や相続税対策も解説

アパート経営を法人化する目安は?節税や相続税対策も解説

アパート経営が順調に進むにつれて税金の負担が重くなり、「どのタイミングで法人化すべきなのだろうか」とお悩みではありませんか。
判断が難しい法人化ですが、適切な時期におこなうことで手元に残る資金を増やせるだけでなく、将来の相続税対策としても大きな効果を発揮します。
本記事では、法人化を検討すべき「所得の目安」となる金額の根拠や節税メリット、相続税対策について解説いたします。
賃貸経営の利益を最大化したい方や、次世代へ資産を引き継ぎたいとお考えの方は、ぜひご参考になさってくださいね。

アパート経営で法人化すべき所得の目安

アパート経営で法人化すべき所得の目安

アパート経営の利益が増えてきた際、法人化の基礎知識と切り替えのタイミングをおさえておくことが大切です。
まずは、法人化の定義や判断基準となる所得額について、解説していきます。

法人化と個人経営の違い

アパート経営の法人化は、物件を個人ではなく会社名義で持ち、家賃収入や経費を会社の会計で管理する方法です。
個人経営では、家賃収入がそのまま個人の不動産所得になりますが、法人化すると会社の利益と役員給与に分かれ、税金の仕組みが変わります。
個人の税金は所得が増えるほど税率が上がる一方、法人税は一定の範囲で安定している点が特徴です。
また、法人には赤字を最長10年間繰り越せる制度があり、大規模修繕などで利益が減っても将来の黒字と相殺できます。
ただし、登記費用や決算にかかる専門家報酬などのコストもあるため、税金対策だけでなく将来の資産形成まで踏まえて判断することが大切です。

所得目安は「1,000万円」

アパート経営で法人化を考える際の目安として、課税所得が900万~1,000万円に近づいたタイミングがよく挙げられます。
この水準では個人の税負担が急に重くなり、900万円を超える部分には高い税率がかかるため、住民税と合わせて約4割の税率が適用されるケースもあります。
一方で、中小企業の法人税率は利益が増えても上昇が緩やかで、比較的安定している点が特徴です。
その結果、同じ利益でも法人として納税したほうが税額を抑えやすく、手元に残る資金を確保しやすくなります。

経費控除後の所得が鍵

判断の基準になるのは家賃収入の総額ではなく、経費を差し引いた後の「不動産所得」である点を押さえておきましょう。
不動産所得は、家賃や礼金などの収入から、固定資産税や火災保険料などの必要経費を引いて算出することが可能です。
たとえば、家賃収入が1,500万円でも、経費が700万円なら所得は800万円にとどまり、まだ法人化を急ぐ段階ではない場合もあります。
一方で、ローンの利息が減ったり減価償却が終わったりして経費が300万円まで下がると、同じ収入でも所得は1,200万円となり、税負担が大きく変わってきます。
こうした数字の変化に備え、修繕計画やローン残高の推移も踏まえて判断することが大切です。

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アパート経営の法人化による節税効果

アパート経営の法人化による節税効果

前章では、所得の目安について述べましたが、具体的にどのような金銭的恩恵があるのか気になりますよね。
ここでは、法人化によって得られる、さまざまな節税効果の仕組みについて解説いたします。

経費計上できる範囲の拡大

法人化のメリットは、事業に関わる出費を経費として認めてもらえる範囲が広がり、課税所得を調整しやすくなる点です。
具体的には、管理に使う通信費や自動車関連費、事務所の家賃などが経費になる可能性があります。
また、役員報酬に伴う社会保険料や、将来の修繕に備えた保険料が経費扱いになるケースもあります。
ご家族を役員や従業員にして給与を支払えば、世帯内で所得を分散させながらお金を有効に回すことも可能です。
さらに、修繕費を計画的に経費化することで、突発的な支出への備えと利益の平準化が期待できます。

法人税と所得税率の差

法人税と個人の所得税率の違いを活かすことで、節税につながる可能性があります。
個人の所得税は収入が増えるほど税率が上がりますが、法人税は一定までは低く、利益が増えても上昇が緩やかです。
そのため、高い税率がかかる場面でも、法人に利益を残す形にすれば税負担を抑えつつ資金を貯めやすくなります。
会社に資金が蓄積されると、次の物件購入や修繕の自己資金として活用でき、財務が整うことで銀行からの評価向上にもつながります。

役員報酬での所得調整

法人化には、オーナー様ご自身の所得を計画的に役員報酬として設定しやすいという、メリットがあります。
役員報酬は会社にとっては経費、個人にとっては給与所得となるため、金額を適切に設定することで税負担を最適化できます。
また、将来の勇退を見据えて退職金を準備しておけば、税制優遇を受けながらまとまった資金を受け取ることも可能です。
会社に利益を残しすぎず、個人の所得も増やしすぎないよう調整することで、金融機関からの評価と節税のバランスを取りやすくなります。

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アパート経営の法人化で有効な相続税対策

アパート経営の法人化で有効な相続税対策

ここまで、アパート経営をする際の毎年の節税メリットを解説しましたが、資産を次世代へ残すための対策もおさえておきましょう。
最後に、法人化を活用した相続税対策の仕組みと注意点について、解説していきます。

不動産評価額を下げる方法

アパートを法人名義で保有している場合、相続の対象は建物ではなく、法人の株式になる点が特徴です。
会社の価値は、不動産だけでなく借り入れ金などの負債も差し引いて算出するため、個人所有より評価額が低くなるケースがあります。
たとえば法人で物件を購入し、ローン返済を続けていると、建物は減価償却で価値が下がり、負債も残ることで評価はさらに落ちやすくなります。
この仕組みを活かし、資産と負債のバランスを整えれば、将来の相続税評価を抑えつつ資産を守りやすくなるでしょう。
専門知識は必要ですが、法人を使えば無理のない形で資産承継に備えられる点がメリットです。

家賃収入を次世代へ分配

法人化を活用した相続対策として、家族への所得分散という考え方も有効です。
家賃収入をオーナー様だけで受け取るのではなく、法人化することでご家族に役員報酬や給与として支払えば、資産を自然な形で分配できます。
また、会社に利益を積み立てておき、将来的に配当金として渡す方法など、ライフステージに合わせた柔軟な資金移動も可能です。
こうして時間をかけて少しずつ資産を移転していけば、相続時の財産集中を防ぎ、結果として相続税の負担を軽減する効果が期待できます。
税金面だけでなく、家族が安心して引き継げる体制を整えられる点も、法人化の魅力といえるでしょう。

法人所有の特例と注意点

法人名義でアパートを持つ場合、相続の対象になるのは物件ではなく、会社の株式であることを改めて意識しておきましょう。
株式は持ち分によって権利が変わるため、誰にどれだけ承継してもらうか、将来誰が会社を引き継ぐのかを家族で話し合っておくと安心です。
また、株主構成は会社の意思決定にも影響するため、遺言書の準備や、家族間でのルール作りを検討しておくことも大切です。
一方で、法人に利益を溜め込みすぎると、場合によっては追加の税金がかかることもあるため、利益の使い道や役員報酬の設定は計画的におこなう必要があります。
相続税対策として法人化は有効ですが、税制は変わる可能性もあるため、専門家と相談しながら自分たちに合った形を整えていきましょう。

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まとめ

アパート経営の法人化は、課税所得が900万から1,000万円前後になった段階が目安であり、将来の修繕やローン状況も見据えて判断することが重要です。
法人化すると経費の範囲が広がるほか、個人よりも低い税率が適用され、家族への役員報酬支払いで所得を分散することで大きな節税効果が期待できます。
不動産ではなく、株式として資産を引き継ぐことで評価額を抑えられ、生前から家族へ収益を分配することで、次世代へのスムーズな資産承継が実現するでしょう。

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