サラリーマン大家でも物件の自主管理は可能?必要な時間や可能な規模を解説

不動産豆知識ほか

中村 亮太

筆者 中村 亮太

不動産キャリア5年

サラリーマン大家でも物件の自主管理は可能?必要な時間や可能な規模を解説

投資用物件の管理には、それなりの時間がかかります。
サラリーマンは使える時間が限られているので、賃貸経営に興味があっても、自主管理ができるかどうか悩むことがあるでしょう。
そこで今回は賃貸管理や賃貸経営を始めようとされている方に向けて、サラリーマン大家でも物件の自主管理は可能なのか解説します。
必要な時間や可能な規模なども解説しますので、ぜひご参考にしてください。

サラリーマン大家が物件を自主管理する場合に必要な時間とは

サラリーマン大家が物件を自主管理する場合に必要な時間とは

不動産投資には、手間をかけずに収入を得られる不労所得のイメージがあり、サラリーマンでも自主管理ができると思うかもしれません。
ただし、賃貸物件の経営ではさまざまな業務が発生するので、それなりの時間を取られます。
サラリーマン大家の場合は使える時間が限られるので、自主管理に必要な時間によっては難しいことがあるでしょう。
一方、管理委託をすれば時間を節約できますが、費用がかかってしまいます。
そこで、自主管理が可能かどうかを判断するために、賃貸物件の管理業務の内容と自主管理に必要な時間をそれぞれ確認してみましょう。

賃貸物件の管理業務の内容

賃貸物件のおもな管理業務は、入出金管理と電話応対、トラブル対応と退去者が出て空室になったときの業務の4つです。
これらのうち、入出金管理はそれほど時間がかかりません。
電話応対は、件数や内容によっては時間を取られます。
電話の内容は問い合わせや設備の故障の連絡、クレームなどのさまざまなものがあります。
時間に関係なくかかってくるため、サラリーマン大家の場合は仕事中に対応しなくてはならなかったり、電話に出られなかったりすることもあるでしょう。
また、トラブルが発生したときの対応も大切な管理業務の1つです。
「となりがうるさい」などの隣人トラブルは、早期に対応しないとこじれてしまい、解決が難しくなる可能性があります。
そして、空室になったときは退去の立ち会いやリフォーム手配、入居者募集などのさまざまな業務が発生します。
空室だと家賃収入を得られないため、入居者募集まではできるだけ速やかにおこなう必要があるでしょう。

賃貸物件の自主管理にかかる時間

賃貸物件の自主管理にかかる時間は、経営者の考え方や物件の位置などによって変わるので、一概には言えません。
考え方では、「賃貸業務に力を入れたい」と時間をかける方がいれば、「できるだけ手間をかけたくない」と必要最低限の時間で済ませる方もいます。
物件の位置は移動時間に影響し、物件が遠くにあるほど時間がかかるでしょう。
なお、空室になったときの業務にかかる時間は比較的変わらないと考えられるので、参考にしてみましょう。
空室になったときは、退去の手続きやリフォームの手配などで4回ほど現地へ行く必要があり、平均1時間は滞在すると考えられます。
また、入居者募集の業務は1つの空室に5時間ほどかかります。
すると、自宅から1時間の距離にある物件が空室になった場合の業務にかかる時間は、移動を含めて17時間ほどになるでしょう。

サラリーマン大家でも物件の自主管理ができる規模は

サラリーマン大家でも物件の自主管理ができる規模は

サラリーマン大家が賃貸物件を自主管理できるかどうかには、経営する規模も関係します。
規模が大きいと手が回らないので、自主管理は難しいでしょう。
では、サラリーマン大家が自主管理できる規模はどのくらいなのでしょうか。

サラリーマン大家が自主管理できる規模の目安

サラリーマン大家が自主管理できる規模は、管理戸数だと6戸以内が目安です。
戸数6戸はアパート1棟くらいのイメージで、それ以上増えると自主管理は難しいと考えられます。
また、自主管理が可能な規模を仕事場や自宅などからの距離で考えると、20km圏内が目安です。
所要時間は1時間以内が目安で、20kmを超えても1時間ほどで到着できる場所なら許容範囲内だと考えられます。

サラリーマン大家には自主管理が難しい規模

自主管理できる規模の目安をふまえると、7戸以上の場合や生活圏内から1時間以上かかる場所にある場合などは、ご自身で管理することが難しいと言えるでしょう。
サラリーマン大家は時間の制約があるので、この規模を超えると先述した業務をこなすことが困難になります。
なかでも退去者が出た際の業務は煩雑なので、管理する戸数が多いと、複数の物件で同時期に退去者が出た場合に対応しきれなくなるかもしれません。
空室になったときに必要なリフォームや入居者募集が滞ると、収入を得られなくなり、経営に影響が生じてしまう可能性もあるでしょう。
また、時間の確保が難しいサラリーマン大家には、ほかにもさまざまな問題が生じる可能性があります。
たとえば、クレームがあってもなかなか現地へ行けず、対応が遅れてしまうかもしれません。
すると、入居者の不満が大きくなり、退去につながってしまうことが考えられます。
そして、自主管理できる規模であったとしても、プライベートの時間が削られることには注意が必要です。
賃貸経営は長期間続くので、時間を取られることが苦痛になりそうだと感じたら、自主管理ではなく管理委託を検討したほうが良いでしょう。

自主管理が難しいサラリーマン大家が検討するべき管理委託

自主管理が難しいサラリーマン大家が検討するべき管理委託

サラリーマン大家の場合、自主管理できる規模はそれほど大きくありません。
可能な範囲を超えると対応しきれなくなり、入居者募集ができなくて空室期間が長引いたり、クレームの対応が遅れて退去者が出たりする可能性があります。
また、仕事とは別に業務が発生するので、自主管理をするとプライベートの時間が少なくなってしまうでしょう。
そのため、時間の制約があるサラリーマン大家には、管理委託がおすすめです。
費用は発生しますが、自主管理をするよりも経営がスムーズになるでしょう。
管理委託で依頼できる内容やメリット、費用の相場などを確認してみましょう。

管理委託で依頼できる内容やメリットについて

管理会社に委託できる内容は、おもに以下の業務です。

●入居希望者の対応
●家賃滞納があったときの対応
●入居者からの問い合わせやクレーム対応
●家賃の入金管理
●退去時の対応


ほかにも、入居者の募集や物件の掃除などを委託できることがあります。
管理業務の大部分を委託できるので、サラリーマン大家は本業に集中でき、プライベートの時間も確保できるでしょう。
また、賃貸経営で困ったときに管理会社に相談できることも、管理委託のメリットです。

管理委託をした場合の費用の相場とは

管理委託をした場合の委託料の相場は、家賃の3~5%ほどです。
たとえば委託料が5%の場合、家賃が5万円の物件は2,500円、8万円の物件は4,000円の費用が月々かかります。
1年間で考えると、家賃5万円の物件は収入60万円に対して委託料が3万円、家賃8万円の物件は収入96万円に対して委託料が4万8,000円です。
このくらいの金額で手間や時間を軽減できるのであれば、一考する価値があるでしょう。
なお、可能な業務はご自身でおこなうと、費用の負担を減らすことができます。
ご自身で管理業務をおこなうと、経験や学びを得てスキルアップを図れるので、できる範囲で挑戦しても良いでしょう。
サラリーマン大家が無理なく賃貸経営を続けるためには、収入と費用との兼ね合いやご自身でできる範囲などをふまえながら、管理委託をうまく使うことがおすすめです。

まとめ

不動産投資には不労所得のイメージがあるかもしれませんが、実際はさまざまな管理業務に時間を取られます。
そのため、時間の制約があるサラリーマン大家は自主管理が難しいこともあるでしょう。
管理業務は家賃の3~5%ほどの費用で管理会社に委託できるので、賃貸経営を長く続けるためにはうまく利用しましょう。


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