入居者からの家賃交渉に応じるメリットは?デメリットも解説!

入居者からの家賃交渉に応じるメリットは?デメリットも解説!

賃貸経営をおこなっているときに、入居者から家賃交渉を持ちかけられるケースはあるものです。
家賃交渉に応じると収益が減るのではないかと不安に感じる方もいるかもしれませんが、状況によってはオーナーにとってもメリットとなることがあります。
そこで今回は、入居者からの家賃交渉に応じるメリット・デメリット、交渉に応じるかどうかを判断する基準について解説します。

入居者からの家賃交渉に応じるメリット

入居者からの家賃交渉に応じるメリット

家賃交渉に応じることには、オーナー側にも一定の利点があります。
入居者からの家賃交渉に応じると、自分にはどのようなメリットがあるのかを事前に把握しておきましょう。

退去リスクを軽減できる

入居者からの家賃交渉に応じるメリットのひとつは、退去リスクを軽減できることです。
入居者のなかには、失業したなどさまざまな理由によって家賃の支払いが難しくなってより安い賃貸物件への引っ越しを検討する方がいます。
賃貸経営において入居者の退去は空室期間が発生することを意味し、収益に悪影響をおよぼしかねません。
しかしわずかな家賃の値下げで入居者の退去を防げれば、長期的な収益の維持につながります。
空室による損失を考えれば、一時的な家賃の減額がむしろ経済的なメリットをもたらすケースも少なくありません。
退去リスクを減らすことは賃貸経営を安定させるうえでは大切な要素であり、入居者がほかの賃貸物件と比較して条件の見直しを求めているときには応じる価値があるといえます。

修繕コストを軽減できる

入居者が長期間住み続けているケースでは、退去後に修繕やリフォームが必要になることが多くあります。
入居者退去後の原状回復や設備の交換といったコストは、賃貸物件のオーナーにとって大きな経済的負担になるといわざるを得ません。
しかし入居者からの家賃交渉に応じればそのまま住み続けてもらえるので、結果的に修繕が先送りされてコストの発生を抑えることが可能です。
修繕費用の観点からも、家賃交渉に応じることには一定のメリットがあるといえます。

新たな入居者の募集にかかる費用を削減できる

入居者が退去すれば、新たな入居者を募集するための広告費用や仲介手数料が発生します。
入居者募集にかかる費用は不動産会社によって異なりますが、賃貸借契約が決まったときに家賃1か月分の報酬を支払う形が一般的です。
また、新たな入居者が決まるまでは収益を得られない点も押さえておく必要があります。
しかし入居者からの家賃交渉に応じて住み続けてもらえば、新たな入居者を募集するための費用をかけずに済みます。
賃貸経営における収益性を維持したいのなら、入居者からの家賃交渉に応じることも選択肢のひとつです。

入居者からの家賃交渉に応じるデメリット

入居者からの家賃交渉に応じるデメリット

入居者からの家賃交渉に応じることにはメリットもある一方で、慎重に判断しなければならないデメリットもあります。
そのため入居者から家賃の減額を交渉されたときには、すぐに応じるのではなく、デメリット面も踏まえたうえで検討することが大切です。
ここでは、入居者からの家賃交渉に応じるデメリットについて解説します。

デメリット①家賃収入が減少する

入居者からの交渉に応じて家賃を減額すると、月々の収益が減少します。
賃貸物件のオーナーにとって、家賃収入は経営の根幹を支える大切な要素です。
安易に家賃の減額をおこなうと収益性が低下し、長期的な収支計画の健全性に影響が出る可能性があります。
とくに複数の入居者から家賃の減額を求められているケースでは、安易に応じると全体の収益が大きく減少するリスクがあるため、慎重な判断が必要です。

デメリット②元の家賃へ戻すことが難しい

一度家賃を下げてしまうと、再び元の家賃に戻すのは難しいのが現実です。
とくに家賃を減額した状態で契約更新をおこなうと、その後の交渉で家賃を値上げしようと思っても入居者の同意がなければ実現できません。
こうした影響は賃貸経営にとって大きなマイナスとなるため、元の家賃に戻すことが難しい点を考慮したうえで交渉に応じるかを検討しましょう。

デメリット③家賃の差によるトラブルが発生する

入居者からの家賃減額交渉に応じて同一物件内で家賃に差が生じると、入居者トラブルにつながる可能性があります。
ほかの入居者にも「家賃の減額が可能」との印象を与え、同様の交渉が増えてしまいかねません。
もし家賃の減額に応じなかったら、入居者の不満が蓄積されて退去につながってしまうおそれがある点に注意が必要です。
1部屋の家賃を安易に下げてしまうと、ほかの部屋の家賃も下げざるを得ない状況に陥りかねず、結果的に収益が悪化するデメリットがあることを押さえておきましょう。

入居者からの家賃交渉に応じるかどうかを決める基準

入居者からの家賃交渉に応じるかどうかを決める基準

家賃交渉に応じるかどうかを判断するためには、いくつかの基準をもとに総合的に考える必要があります。
ここでは、判断材料となる基準を解説します。

基準①入居期間は長いか

入居者が長期間居住しているときには、家賃交渉に応じるメリットは大きいでしょう。
長期間入居している方とは一定の信頼関係が築けており、今後も長く住み続けてくれる可能性が高いといえます。
入居者の満足度をより高められるのであれば、一時的な収益の減少には目をつぶるのもひとつの手です。
とくに入居者が家賃滞納などのトラブルを過去に一度も起こしたことがないときには、長期的な視点で家賃の見直しを検討する価値があります。

基準②家賃交渉の理由が明確か

入居者が家賃交渉を希望する背景には、物件の設備に対する不満や周辺環境の変化などが考えられます。
たとえば近隣物件の家賃相場が下がっている、設備の老朽化による利便性の低下などは家賃の減額を求める合理的な理由といえます。
また、会社の倒産など入居者自身の身辺において家賃の支払いが難しくなった事情があるときも家賃交渉に応じたほうが良いケースのひとつです。
家賃の値下げに応じればその後も住み続けてもらえる可能性が高く、ほかの賃貸物件への流出を防げます。
入居者が家賃交渉をしてきたときにはやみくもに応じるのではなく、まずは理由を確認したうえで対策を検討することが大切です。

基準③家賃の滞納履歴はないか

入居者が過去に家賃を滞納した履歴があるときには、家賃交渉に応じるのは避けたほうが無難です。
家賃を下げたら滞納リスクが軽減されるのではないかと思うかもしれませんが、滞納頻度が高い入居者の家賃を下げたところできちんと支払ってくれる保証はありません。
それどころか、さらに未納のリスクが増す可能性がある点に注意が必要です。

基準④近隣トラブルを起こしていないか

近隣トラブルを起こした方からの家賃交渉に応じることも避けましょう。
近隣トラブルを起こす方が長期間住み続けると、逆にほかの入居者の退去を招いてしまいかねないためです。
家賃交渉に応じてもプラスに働くことはほぼないため、新たな入居者を募集したほうが結果的に収益の改善につながる可能性があります。

まとめ

入居者からの家賃交渉に応じるメリットには退去リスクを軽減できる、退去時の修繕や入居者募集コストを削減できるなどがあります。
しかし一方で、家賃収入の減少や元の家賃への戻しにくさなどのデメリットがある点を押さえておきましょう。
入居者からの家賃交渉に応じるかどうかの基準は、入居期間の長さや減額を求める理由、滞納履歴の有無などです。