賃貸経営のトラブル例とは?滞納・騒音・ゴミ出しのトラブルについてご紹介
これから賃貸経営を始めようと考えていて、物件探しをしている方もいると思います。
しかし、賃貸経営を始めるにあたって、万一トラブルが発生したらどのように対処したら良いか気になるものです。
そこで今回は、賃貸経営のトラブルにはどのような例があるか、滞納・騒音・ゴミ出しのトラブルについてご紹介します。
賃貸経営のトラブル例「家賃の滞納」
賃貸経営のトラブルでよく見られる例として、家賃の滞納があります。
日管協総合研究所のデータによると、2019年上期の月初滞納率は5%前後となっていて、20戸の賃貸物件のうち1戸が家賃を滞納している計算となります。
賃貸経営における家賃の滞納は決して珍しいトラブルではないので、発生した場合の対処法を知っておくと安心です。
ここからは、賃貸経営における家賃の滞納トラブル例や対処法についてご紹介します。
オーナー自身ができる対処法
賃貸物件で家賃の滞納が発生した場合、オーナーができる対処法として、まず口頭での督促をおこなうのが一般的です。
この段階で家賃を支払ってもらえれば問題は解決しますが、それでも滞納が続く場合は、次に書面での督促をおこないます。
書面による督促をおこなっても滞納が続く場合、オーナーが取るべき最終手段は「内容証明郵便」の送付です。
内容証明郵便に記載した指定期日までに家賃が支払われない場合、契約解除を通告するのが一般的な対処法です。
専門家に相談する対処法
家賃の滞納への対処法として、オーナー自身が対応する以外にも、専門家に相談する方法があります。
事前に賃貸物件の管理会社に家賃回収を含む管理業務を委託していれば、管理会社が家賃滞納に対する督促などの対応をおこなってくれるため安心です。
また、家賃保証会社に家賃の管理を依頼しておけば、督促業務も代行してもらえます。
すでに発生した家賃滞納については、弁護士や司法書士に依頼して、法的手段による家賃の回収や退去の相談をすることが必要です。
購入した物件に家賃滞納があった例
収益物件を購入して賃貸経営を始めた際、前のオーナーの時代から住んでいる借主に家賃の滞納がある場合も少なくありません。
この場合、家賃の滞納は前のオーナーとの間で発生したものであり、これだけを理由に退去を求めることはできません。
しかし、物件購入時に「滞納賃料債権」を譲り受けていた場合、新オーナーはその滞納賃料を請求することができ、支払いがない場合には契約解除が可能です。
賃貸経営のトラブル例「騒音」
賃貸経営をおこなううえで、発生頻度が高いといわれるトラブルのひとつが「騒音」に関するトラブルです。
騒音は入居者間のトラブルなので解決するのが難しく、発生時にしっかりとした対処をおこなう必要があります。
ここからは、賃貸経営における騒音の例やトラブルの対処法についてご紹介します。
騒音について現状確認
騒音トラブルについて申し出があった場合、まずはオーナーが現状を確認することが重要です。
騒音の原因が特定できるよう、できるだけ具体的に聞き取りをおこなう必要があります。
確認すべきポイントは、以下のとおりです。
●いつからその音に気付いたか。わかる範囲で具体的に。
●どのような音なのか。足音、人の声、楽器の音、機械の音など。
●音が聞こえる時間帯や頻度。毎日聞こえるのか、特定の曜日に聞こえるのか。
●音が聞こえる部屋の位置。
ここで気を付けたいのは、騒音を訴えている入居者が音に敏感すぎる可能性もあることを考慮して、先入観をもたずに現状確認をおこなう点です。
手紙や張り紙で入居者全員に通知
騒音の詳細が明確になったら、まずは賃貸物件の入居者全員に対して、騒音についての注意を記載した手紙や張り紙を配布しましょう。
手紙の内容には、音の特徴や頻度など、具体的な情報を記載することが重要です。
手紙を読んだ際に、音の原因となっている入居者が自分の行動に気づけるような内容にすることで、騒音の解決につながる可能性があります。
ここで重要なのは、騒音の原因となる入居者を先入観で決めつけないことです。
騒音を訴えている方が指摘している原因とは異なる理由で騒音が発生している場合もあるため、決めつけずに「入居者全員に連絡している」と間接的に呼びかけることが重要です。
手紙や張り紙で改善が見られない場合は、原因となっている入居者に直接連絡し、心当たりがないかを確認してみましょう。
騒音の受忍限度の範囲
どの程度からを「騒音」と呼ぶかは判断が難しい点ですが、法的に問題となる騒音には「深夜に集団で大騒ぎしている音」や「隣の家まで聞こえる音量で音楽を演奏する音」などがあります。
また、「明らかな嫌がらせとして発せられる音」も、条例違反となる可能性があります。
騒音に関する受忍限度の基準は、以下のとおりです。
●洗濯機・掃除機・トイレの洗浄音:60デシベル(声を大きくしなければ会話ができないレベル)
●布団たたき・ピアノ:80デシベル(地下鉄や電車の車内に匹敵するほどうるさい)
騒音が受忍限度の範囲を超えていて、注意喚起をおこなっても改善が見られない場合は、入居者の法順守義務違反を理由に賃貸借契約を解除できるケースもあります。
賃貸経営のトラブル例「ゴミ出し」
賃貸経営で多いトラブルの例として、ゴミ出しに関するトラブルも挙げられます。
マンションやアパートなどの賃貸物件では、入居者全員が同じゴミ置き場にゴミ出しするため、1人のルール違反が多くの方のクレームとなるかもしれません。
ここからは、賃貸経営におけるゴミ出しトラブルの例をご紹介します。
収集日を守らない
収集日が決まっているにもかかわらず、それを守らずにゴミを出す方がいると、ゴミが放置されて臭いが発生するなど、多くの入居者が不快に感じる事態となります。
ルールを理解しているものの、面倒だから収集日を守らない方もいますが、悪気はなくゴミ出しの日を勘違いしているケースも少なくありません。
一方的に責めたり圧力をかけたりするだけでは解決しないこともあるため、「なぜルールを守れないのか」を考え、収集日を目立つ張り紙などで掲示して注意喚起をおこなうことが重要です。
収集時間を守らない
ゴミの収集時間には地域差があり、それぞれの賃貸物件によっても異なります。
当日の朝にしかゴミを出せない物件もあれば、前日の夜からゴミ出しが可能な地域や、24時間ゴミ出しができるマンションもあります。
異なるルールの物件から引っ越してきた方などは、これまでのルールに従ってゴミを出してしまうことも珍しくありません。
収集時間を守らないと、ゴミが収集されずに長時間放置され、悪臭の原因となることがあります。
入居時にしっかりと確認し、収集日と同様に、張り紙などで注意喚起をおこなうことが大切です。
ゴミの分別が正しくおこなわれていない
ゴミの分別が正しくおこなわれていないため、ゴミが回収されずに残ってしまう例がよく見受けられます。
この問題の背景には、近年各自治体のゴミ分別のルールが複雑になっていることがあります。
燃えるゴミ、燃えないゴミ、資源ゴミ、ペットボトルなど、地域によって分別方法が異なるため、現在住んでいる地域のルールをしっかりと周知することが重要です。
また、海外の方が住んでいる場合、ゴミ分別に対する認識が異なったり、日本語の張り紙が理解できなかったりすることがあります。
そのため、ゴミ分別のルールは、目で見てわかりやすいポスターで掲示する、各戸へチラシを配布して注意喚起をおこなうなどの対策が必要です。
まとめ
賃貸経営のトラブル例のひとつは家賃の滞納で、口頭による督促、手紙による督促、内容証明郵便の送付と、段階を踏んで対応していくのが一般的です。
騒音問題もよくあるトラブル例で、まずは現状確認をおこなって、手紙や張り紙で入居者全員に通知して、改善を呼びかけましょう。
ゴミの分別もトラブルの例として多く見られており、収集日や収集時間を守らない、正しく分別されていないケースがあります。